ついにテイラー・スウィフトを批判できる時が来た? 新アルバムは酷評噴出
(CNN) 米歌手テイラー・スウィフトの新アルバム「ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール」が、ネット上でも主要メディアでも酷評され、ファンが厳しい現実を突きつけられている。
ネット上では、同じアルバムの高額バージョンを何種類もリリースする商魂や、恋人のNFL選手トラビス・ケルシーさんの性的たくましさを誇示するかのような「どうでもいい」楽曲が批判の的になっている。
「このクソが5枚とか郵便で届く」とX(旧ツイッター)に書き込んだファンもいる。
音楽レビューサイト「ピッチフォーク」の評価は(10段階中の)5.9。「彼女の音楽の魅力がこれほど薄いことはなかった」と手厳しい。ニューヨーカー誌は「スウィフトの人生は素晴らしい。だが富と名声にとらわれてもいる。きっと経験できる感情の幅が狭まっているのだろう」と評した。ビジネス・インサイダー誌は、確かに最高傑作のひとつだが、「最もイタい作品のひとつ」でもあると指摘。ビルボードは「このアルバムの収録曲は古典的なポップの作りで、一般的なAメロとサビで構成され、1曲の長さはめったに4分を超えない」という単調な評価だった。ティーン・ヴォーグ誌は「アーティスト、ペルソナ、人間としてのテイラー・スウィフトをあまり真剣に受け止めなければ、もっと楽しめる」とコメント。一つ星評価のスタンダード誌は「これは本当に、『Folklore』や『Evermore』を生み出したのと同じアーティストなのか?」と疑問をぶつけた。
Xには「この歌詞を書いたのがテイラー・スウィフトだったら本当にひどい。チャットGPTだったら本当に本当にひどい。でももしトラビスだったとしたら、ある意味誇りに思うかも」という書き込みもある。
アルバムが嫌われる理由はさまざまだ。スウィフトの幸せを願わない人もいるのかもしれない。しかし、「CANCELLED!」は、ある意味有名であることの厳しさやつらさをテーマにした楽曲で、ファンにとって受け入れるのは難しい。その根底には、自ら「読むことは得意じゃない」と公言している男性との婚約に対するファンの不安も存在する。ケルシーさんの存在はアルバムに影を落とす。例えばスウィフトは努めてセクシーさを演出しようとしているが、サブリナ・カーペンターの時代にあっては特に平凡に思える。女性アーティスト同士を対立させるつもりはないが、スウィフト自身、チャーリーxcxに対してまさにそれをやっているように見える。
この週末は、スウィフトのアルバムを二本立てで盛り上げる第2弾イベントとして、映画と称する「テイラー・スウィフト:ザ・オフィシャル・リリース・パーティー・オブ・ア・ショーガール」が公開された。興行収入は3300万ドル(約49億円)以上と推定されているが、この作品に「映画」という言葉は大きすぎる。上映時間の大部分は、画像の繰り返しに歌詞の映像を重ねただけの安っぽいユーチューブ的な内容だった。冒頭ではリードシングル「The Fate of Ophelia」の舞台裏映像が流れ、続いてその映像が再生される。それでもまだ残る上映時間は長い。
この作品は、スウィフトの楽曲をクリーンアップしたバージョンで、アダルト的な歌詞を子どもと保護者にとって安全なバージョンに変えている(スウィフトのアルバムは子ども向けの「クリーンな」バージョンがリリースされることがある)。
通常であれば、ネット上で展開される批判の声はファンの目には入らない。しかしリードシングル「The Fate of Ophelia」は、配信サービスで再生された回数と同じくらい、批判の声も多かった。スウィフトが映画の中で「シェイクスピアが大好き」とコメントしている通り、この楽曲はシェイクスピアの悲劇「ハムレット」に登場するオフィーリアを題材にしている。それがテイラーのバージョンでは、ただ男性を必要としていた女性になり、自身とケルシーの関係に置き換えて「あなたは私をお墓から掘り出して、私の心を救ってくれた」という歌詞になった。