24年に解明された歴史上の謎、カスパー・ハウザーの「消えた大公子」説は否定

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「カスパー・ハウザー」の名を持つ男(左)はドイツの王族ではないかとの臆測が取り沙汰されていた。ベートーベンの毛髪からは高濃度の鉛が検出された/Design Pics Editorial/Getty Images; Universal History Archive/UIG/Shutterstock

「カスパー・ハウザー」の名を持つ男(左)はドイツの王族ではないかとの臆測が取り沙汰されていた。ベートーベンの毛髪からは高濃度の鉛が検出された/Design Pics Editorial/Getty Images; Universal History Archive/UIG/Shutterstock

(CNN) 科学者は今年、有名無名を問わず歴史上のさまざまな人物にまつわる謎を解き明かし、そのユニークな物語について知見を深めることに成功した。

一部のケースでは、古代のDNAの解析が知識の穴を埋め、先入観を覆す一助になった。主な例として、DNA研究がポンペイ遺跡を巡る理解の再考を迫っていることが挙げられる。ポンペイは西暦79年のベスビオ火山噴火による町の滅亡から長年が経過した今なお、灰の層の下に埋もれたままだ。

遺骨から収集された遺伝的痕跡を調べた結果、最期の瞬間に息子を抱く母親と従来考えられていた犠牲者が実は、血縁関係のない成人男性だったことが判明した。この男性は息を引き取る前に子どもを慰めていた可能性が高い。他にも長年の想定が変更を迫られた。

以下では、科学が歴史上の人物を巡る新たな理解につながった2024年の事例を見ていく。さらなる未解明の謎が生まれた例もある。

知られざる素顔を解明

石器時代の移民「ビットルプマン」のひび割れた頭蓋骨/Stephen Freiheit
石器時代の移民「ビットルプマン」のひび割れた頭がい骨/Stephen Freiheit

歯のエナメル質や歯石、骨のコラーゲンの詳しい分析を手がかりに、研究者は石器時代の移民「ビットルプマン」にまつわる詳細を解き明かした。この男性は約5200年前、デンマーク北西部の沼地で暴力を受けて死亡した。

男性の遺体は1915年にデンマーク・ビットルプの泥炭から収容され、その横では頭部の殴打に使用されたとみられる木製のこん棒が見つかっていた。だが、それ以外に分かっていることはほとんどなかった。

スウェーデン・ヨーテボリ大学歴史学部の研究者、アンデルス・フィッシャー氏と同僚は最新の分析手法を用いて「遺骨の背後にいる人物を見極め」、デンマーク史上最古の移民を巡る物語をひもとこうと試みた。

ビットルプマンはスカンジナビアの沿岸地域で育った。狩猟採集者のコミュニティーに属し、魚やアザラシ、クジラを食事にしていたが、10代後半の年齢でデンマークに移住し、羊やヤギを食べる農民の食生活に移行したことで、人生は大きく変化。30~40歳で亡くなった。

フィッシャー氏は「ビットルプマンのケースでは、我々は正真正銘の移民第1世代に出会っている。スカンジナビア北部から南部、狩猟採集民族から農耕民の生活様式へと地理上、食生活上の驚くべき移行を遂げた人物の足跡をたどることができる」と説明している。

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