妻夫木聡、戦後の沖縄描く主演映画に思い「向き合うものがあまりにも大きすぎた」

俳優の妻夫木聡が9日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた主演映画『宝島』(9月19日公開)東京プレミア舞台あいさつに、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太らと共に登壇。座長として作品に向き合ってきた熱い思いを吐露した。
本作は、真藤順丈の直木賞受賞作を、映画『るろうに剣心』シリーズなどの大友啓史監督が映画化。太平洋戦争後の沖縄で、アメリカ軍基地から奪った物資を住民たちに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれた若者たちの生きざまを描く。妻夫木は、「戦果アギヤー」の主要メンバーであるグスクを演じた。
並々ならぬ思いで撮影、宣伝活動を行ってきた妻夫木は、本作の“宝島宣伝アンバサダー”として全国キャラバンを展開し、20エリアを超える地域に訪問した。撮影中は2度にわたる延期も経験している。そのなかで熱い思いを持続するモチベーションについて、妻夫木は「僕は映画の力を信じたいんです」とつぶやくと「この映画に1%でも、誰かの人生を変えられる、未来を変えられる力があるんだとしたら、僕はその力を信じたいと思っているんです。そんな奇跡を目の当たりにしたいし、そのためにはしっかりと作品を届けたいと思ったんです」と語る。
現場でも宣伝活動でも、周囲を引っ張る妻夫木に対し「戦果アギヤー」のメンバーとしてグスクらを見守るヤマコを演じた広瀬は「沖縄と作品に対して愛と情熱を持って取り組む姿を間近で見ることができて、本当に贅沢な時間を過ごすことができました。まっすぐな姿が刺激的で、作品に取り組む概念を改めて変えられるような姿でした」と称賛する。
妻夫木は「いやいや」と謙遜しつつも「今回は向き合うものがあまりにも大きすぎた。向き合えば向き合うほど知らないことが出てきた。それを真摯に受け止めて、僕らが代弁して皆さんに届けていくことが、どこか使命に感じていました」と思いを吐露していた。
いよいよ10日後に公開を迎える本作。妻夫木は「宣伝キャラバンを回っている間、どんどん『宝島』という作品が大きく成長していると感じています」と胸を張ると「この映画を通じて、この先にある未来を僕たち一人一人の思いによって考えることができたら、いい未来になるのではないかと思っています」と伝え「映画というものは、もしかしたらこの社会のなかではちっぽけなものかもしれません。でも誰かの人生や世界が変わるきっかけになれば……」と再度、映画の力に思いを馳せていた。
イベントには塚本晋也、中村蒼、瀧内公美、栄莉弥、尚玄、木幡竜、奥野瑛太、村田秀亮(とろサーモン)、デリック・ドーバー、大友啓史監督も登壇した。(磯部正和)