1961年、三重と奈良にまたがる集落・葛尾で凄惨な事件が起こった。村の懇親会で振舞われたぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡。世にいう名張毒ぶどう酒事件。犯人と目されたのは、奥西勝。一審判決では無罪を勝ち取ったが、二審では一転して死刑判決が言い渡される。そして、奥西は89歳で獄中死。再審請求を引き継いだのは妹の岡美代子。弁護団を結成し、新証拠を出し続けるが、再審の扉は開かない。再審請求は配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹しかできない。妹がいなくなれば、事件は闇の彼方に消える。
鎌田麗香