大好きなガールズ・パンクバンドが帰ってくる!!
ロンドンを舞台にムスリム(イスラム教徒)女性だけで構成したパンクバンド、“レディパーツ”が繰り広げる笑いと涙のドタバタを描いた「絶叫パンクス レディパーツ!」シーズン2が、12月16日(月)より「スターチャンネルEX」にて一挙独占配信中。
カラフルなヒジャブで装ったり、ボロボロのデニムを愛したり、スタイルはさまざまでも、彼女たちの苦悩と本音が詰まったガールズ賛歌はさらにパワーアップ。好評を得たシーズン1の後、初の長編映画『ポライト・ソサイエティ』を手がけて話題を呼んだニダ・マンズールが紡ぐ誰かのふとしたセリフ、笑いを誘う痛烈な歌詞に自分を重ね、共感できるドラマは今回も異彩を放っている。
注目女性クリエイターが放つ
青春音楽コメディが大人気
婚活に勤しむ真面目な大学院生アミーナ(アンジャナ・ワサン)が、自分自身を好きでいられる居場所=“レディパーツ”に出会うまでが描かれたシーズン1。
2021年にイギリスで放送されると、英国アカデミー賞(BAFTA)TV部門でコメディ作品賞、脚本賞、女優賞を含む6部門にノミネートされ、脚本賞とキャスティング賞、衣装デザイン賞の3部門に輝いた。
一躍、注目クリエイターの仲間入りを果たした監督&脚本のニダ・マンズールはその後、スタントウーマンを夢見るムスリムの高校生を主人公に『ポライト・ソサイエティ』(2023)を手がけ映画監督デビュー 。
同作は、サンダンス映画祭で批評家、観客双方から絶賛を浴び、英国インディペンデント映画賞で最優秀新人脚本家賞を受賞、バラク・オバマ元米大統領が毎年リストアップする「お気に入り映画」の1本にも選出されて話題となった。
そのニダ・マンズールの原点ともいえるのが本シリーズで、彼女自身もパキスタン系移民でロンドンのムスリム家庭育ち。自身の経験を含め、これまでエンタメのメインストリームではなかなか描かれてこなかったムスリム女性たちの多様な生き様を“レディパーツ”というパンクバンドを通して映し出した。
シーズン2は2024年5月にイギリスで放送されたばかり。辛口批評サイト「Rotten Tomatoes」では95%フレッシュをマークし(2024年8月時点)、ガーディアン紙やiNews紙で四つ星を獲得するなど、変わらずの高い支持を得ており、2025年のBAFTA・TV部門のノミネートも確実といわれている。
“レディパーツ”にハマる一番の魅力は、彼女たちが正直でリアルであることだ。それは、日常で経験する抑圧や不条理への怒りなどを自分たちの言葉で歌い上げるバンドの楽曲にも見事に反映されており、ニダ・マンズール監督自身が兄弟のシェズ・マンズールと共同制作している。
ムスリム女性が着用するヒジャブと、『ハリー・ポッター』シリーズの悪役ヴォルデモートを組み合わせた「ヒジャブの下のヴォルデモート」、2つの祖国への相反する感情を込めた「フィッシュ&チップス」など、たっぷりの毒っ気とユーモアを交えた楽曲はシーズン1から大人気。
女性が音楽を楽しむこと自体、“ハラム(禁忌)”といわれるムスリムコミュニティで求められる役割と本当の自分との葛藤、当たり前だと思われている因習(日本にも何だかんだ根強く残っている)を、“レディパーツ”はパンクサウンドで痛快に吹き飛ばす。真実の叫びを。それこそがパンクだ。
シーズン2は“レディパーツ”が
「悪党時代」へ
新たな試練にどう立ち向かう!?
今回のシーズン2では、国内ツアーを回り新たなファン層も獲得した“レディパーツ”が、次なる目標であるデビューアルバムのレコーディングのために稼げる仕事を探す。だが、Z世代のインフルエンサー、タイファ(キマニ・アーサー)が率いる“セカンド・ワイフ”という後輩バンドが台頭し、バンドの存在が脅かされることに。
やがて敏腕マネージャーからスカウトされて、伝説のプロデューサーを迎えてレコーディング。いよいよメジャーレーベルでのデビューのチャンスがやってくるが、メンバーたちはそれぞれ新たな悩みに直面していく。
メンバーのキャラがより際立ち、それぞれのアイデンティティー・クライシスが深掘りされるシーズン2は見どころポイントも満載だ
“隣の女の子”キャラ(?)、アミーナは無事博士号を取り、幹細胞研究所に就職。それを機に慎ましく控えめないい人でいることをやめ、上司に残業NO!を突きつける“悪党時代”に突入している。
ちょっぴり強気になったアミーナは、アッサン(ザキ・イスマイル)の友人でフォークナイト・イベントを開催した白人男性ビリー(ジャック・リディフォード)にときめいてしまうのだが…。
普段から脳内1人芝居にひたりがちなアミーナが、あろうことかビリーを相手に親友ノールが知ったら横転するような妄想を展開しドギマギ。そのノールもいまや妊娠中で、ホルモンバランスの変化に戸惑う。2人で出かけた母親学級では決して外部には聞かせられない、まさに“レディパーツ”そのものが声高々に叫ばれる場面も! どこか解放感に包まれるアミーナの姿は見逃せない。
“悪党”として張り切りつつも、何をしても愛らしいアミーナが一念発起する第6話のラストシーンには、ヒジャブの色にもその決意が表れている。
また、リーダーでリードボーカルのサイラ(サラ・カミーラ・インピー)といえば一見クールだが、内には“レディパーツ”をビッグにするべく大きな夢と情熱を抱いている。アルバム製作費を稼ぐためなら、“レディパーツ”史上初めて女性の真実を訴えず、怒りを表現せず、個性を探らないカバーソングだって歌う。
愛するバンドが資本主義(と白人至上主義&男性優位社会)の歯車の1つになるなんて耐えられない。だからこそ、先にガラスの天井に挑んだ大先輩のパンクロッカーで、2人のムスリム女性政治家の名を持つサミア・シェイクことシスター・スクワイアの言葉にも揺らいでしまう。彼女が乗り越え、やがて行き着く選択に注目だ。
ドラムのアイーシャ(ジュリエット・モタメド)はクィアとしての在り方に悩み、新たな恋人ローラ(ジュリエット・モタメド)と気まずくなってしまう。あるファンガールの母親に「あなたはクィア・アイコン」と声をかけられ、即座に否定したからだ。
ムスリム女性がクィアとしてカミングアウトすれば、大いに讃えられ、次世代に勇気を与えることにはなるだろう。だが、中東系のアイーシャ自身がそれを望んではいないのだ。その理由を誰も責めることなどできない。
平和主義者でベース担当のビズマ(フェイス・オモーレ)は自身が“ママキャラ”として周囲から見られていることに疑問を感じ、編み上げた美しい髪を見つめて黒人女性としてのアイデンティティーを自覚する。その髪もまた自分らしさ。母親である前にムスリム女性であり、パンク界に滅多にいない黒人女性であるビズマを形づくるレイヤーの1つである。
そんな母の背中を押すのが、女子教育のために闘った人権活動家マララ・ユスフザイを手本にする他ならぬ娘イマーニであることも重要だ。
そして、「モンタナ・レコーズ」を運営しながらも、“レディパーツ”と距離を置くことになるマネージャーのモンタズ(ルーシー・ショートハウス)。
顔と髪をすっぽりと覆うニカブの下にパンク精神を秘め、“レディパーツ”が声を上げる場を作ってきた彼女の心が再びたぎる瞬間にも共鳴すること必至。実は身近で、意外な場所に情熱の源が眠っていることはよくあることだ
それぞれが自分自身を模索し、世間やファン、レーベルが求めるイメージと闘うことになるシーズン2。オリジナル楽曲としては、「私は悪党 時間外のメールは無視」と歌い上げる「悪党時代」、2014年にノーベル平和賞を史上最年少で受賞したマララ・ユスフザイを迎えた「マララを見習った」などが炸裂する。
シーズン2を語る上で特に重要な楽曲「悲しきガラスの天井」は、「クイーン」でいえば「ボヘミアン・ラプソディ」に匹敵するような、とっておきの魂を込めた1曲にしてレーベルが難色を示す問題作に。
さらにはブリトニー・スピアーズの「Oops!…I Did It Again」や「フーバスタンク」の「The Reason」といったヒット曲のカバーも重要な場面で登場する。
なぜ、自分らしく毎日を生きていくことがこれほど困難なのだろう。なぜ、愛するものに素直になることが一番難しいのだろう。“レディパーツ”は、そんな思いを抱えるあらゆる女性たちの代弁者である。
シーズン2からでも楽しめるが、シーズン1から見れば、それぞれのキャラクターへの愛着がいっそう増すというもの。各シーズンとも1話30分×全6話の見やすさがあり、年末年始の一気見もオススメだ。
「絶叫パンクス レディパーツ!」を配信で視聴
<「絶叫パンクス レディパーツ!」(各シーズン全6話)配信・放送情報>
【配信】スターチャンネルEX <字幕版・吹替版>シーズン1&2全話、見放題配信中!
【放送】スターチャンネル <字幕版・吹替版>シーズン2は2025年独占日本初放送