「ガンになったけど、わたし働きたいんです」 彼女と共にあゆむ「わたし」の物語
舞台はとある病院。定年をひかえた看護部長の視点から物語は進みます。
「看護師が私の生きがいなんです」
「あなたは最後の最後まで看護師よ」
作者は漫画家のこしのりょうさん。医療漫画を中心に、『Ns’あおい』など多くの作品を手がけてきました。
最後の最後まで“看護師”という自分の仕事を全うした彼女。その姿に読者からは「声を出して泣いてしまいました」「素敵な作品をありがとうございます」など多くのコメントが寄せられました。
作者であるこしのりょうさんはBuzzFeed Japanの取材にこう答えます。
――「泣いてしまいました」など漫画の読者から多くの反響が寄せられたことについて、どのように感じていますか?
この作品『はなうた』は現場のナースの方々を取材し描いています。
取材し、お話しを聞きながら泣いて、ネーム作りながらまた泣いて。
取材させていただいた方の「思い」が多くの方に伝わって、良かったなぁと思います。
――こちらの漫画はどのような背景から描かれたのでしょうか。
看護師専門誌で季刊で連載をしていて、いつもは8ページの短編なのですが、
「このお話しは8ページではおさまらない」と思い32ページにしました。
主人公お二人のお話しを「描ききりたい」思いが強かったです。
――こちらは電子書籍『やっぱりナースの仕事きらいじゃないし、ときどきはなうた歌うし。』に収録されている作品の1つだということですが、Twitter上で公開するに至った経緯をぜひ教えてください。
平野啓一郎さんが『カッコいいとは何か』を出版されると聞いて自分なりの「カッコいいって何だろ?」と考えていました。
そこで浮かんだのがこの作品でした。
『はなうた』シリーズに出てくる看護師さんはみんな私にとって「カッコいい」のですが、その「カッコいい」が読んでくださる方に一番伝わりやすいのはこの作品かなぁと。
――『Ns’あおい』などの有名作品を世に送り出してきたこしのさんですが、紙ベースで読者に漫画を届けるのと、Twitter上に漫画をアップするのではどのような違いがありましたか?
今回のように多くの方に読んでいただけるのはツイッターかなぁと。
これだけ多くの漫画が出ていて、「出版」はされても、なかなか読者に届かないなぁと近年特に感じていますし、届かないと意味が無いしなぁと。
ツイッターは「思い」が伝わりやすいし、広がりやすい。漫画家にとってなくてならないメディアだと思います。
積極的に、ツイッターなどSNSは使っていますが、まだまだ「届け方」が今イチなので勉強中です。
――今後、描きたいテーマなどがあれば、ぜひ教えてください。
ずっと「医療」は描いてきていますが、まだまだ描き切れていないということも実感しています。
医療は「生き方」とか「幸せ」など人生の在り方に直面するテーマ。「考え続ける事」に尽きることはないので、描き続けていけると思ってます。
医療は常に進歩しているので私も、負けないように「新しい医療漫画」に取り組みたいと思っています。