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- アパートや借家の家賃は、必ず交渉の余地がある。ある程度の減額や据え置きなど、長期的な節約に役立つ小さな交渉に重点を置こう。
- 交渉の際は、電話かビデオ通話の方が個人的な側面が強調されるため、電子メールを利用するよりも効果的だ。
- きちんと期日どおりに支払っている、物件を大切に扱っているなど、優良な住人であることを伝えれば、交渉がはかどりやすくなる。
あなたの住むアパートや借家には、必ず家賃を交渉する余地がある。
家主にとっては、優良な入居者をつなぎ止めておくことは死活問題だ。賃貸契約の期限が迫ってきたら、入居者はこの有利な状況を生かして、家賃の引き下げを求めることができる。
家賃交渉をするつもりなら、交渉経験者の声を参考にするのがいいだろう。家賃の引き下げに成功した人々が教えてくれたヒントやコツを、ここで紹介する。
1. 大きな値引きより、長期にわたる小さな変化を重視
家主は普通、毎年のように家賃を上げようとする。ウェブサイト「アパートメントセラビー(Apartment Therapy)」によると、家賃はインフレに合わせて毎年およそ3%上昇する傾向がある。しかし、値上げに応じなければならない理由はない。
オースティンで部屋を借りているダニエル・マーチェル氏は今暮らしているアパートで毎年家賃交渉を行ない、そして交渉したという理由だけで家賃の値上げを避けることができたという。
「毎年不動産屋に電話をしては『私はもう数年ここに住んでいるのだけれど、据え置きの家賃で住み続けることは可能か? ここが気に入っているのだ』と話しただけだ」と説明する。今のアパートメントに5年前から住んでいるが、家賃はずっと変わっていない。
小さな要求のほうが大きなものより受け入れられやすい事実を示す好例だろう。しかし毎月50ドルや100ドルといった小さな額でさえ、借りている者にとっては、長期的には大きな違いを生み出すことになる。同じ場所に長く住み続けると予想される場合は、家賃の据え置きという小さな要求をすることで、長い目で見た場合、大きな節約が可能だ。
2. 交渉は電子メールではなく、電話もしくは対面で
かつてニューヨークでバーテンダーあるいは接客係として働いていたセレーナ・マリー氏は、その両方の仕事を失ったとき、ルームメイトとともに家賃交渉をすることにした。家主は大型の管理会社ではなく個人だったため、ビデオ通話で話をした。
スクリーンを挟んでではあったが、この「面と向かってしゃべる」という要素が、交渉成功に役立ったとマリー氏は考えている。「顔を見ながら話すことで、相手の反応を見ることができて、それが成功につながった」とBusiness Insiderに書いている。
マーチェル氏もまた、同じような方法が功を奏したと話した。「不動産管理者と話をするときは必ず、電話もしくは対面でするようにした。メールなんかよりも、人間相手に1対1のレベルで話すほうが、交渉はずっとやりやすくなる」
3. 優良な住人だったのなら、その点を強調する
これまでずっと家賃を期日どおりに支払い、物件を大切に扱い、優良な住人として過ごしてきたのなら、有利に交渉を進めることができるはずだ。結局のところ、家主にとっても、問題の多い入居者から高い家賃を徴収するよりも、優良な入居者から少ない家賃を集め続けるほうが何かと都合がいい。
「私は入居者としての自分の記録を指摘する」とマーチェル氏は言う。「家賃をいつもきちんと支払っていて、私に文句を言う隣人もいない、と」。そして、こう付け加えた。「家主も高い更新率を維持しようとする。だから、この点で彼らに協力的な態度を示すと、交渉がうまくいくのだ」
4. 最悪でも「ノー」の返事があるだけ。だから、とりあえず尋ねてみる
ライターのエリック・ローゼンバーグ氏はデンバーにあるアパートの家賃交渉を行ない、累積で1600ドル(約23万円)の節約に成功した。アパートを探していたとき、提示額よりも100ドル(約1万4000円)の値引きを求めると、家主がそれを受け入れたのである。
「私には絶対に引っ越しする必要があったわけではなく、実家に住み続ければお金の節約もできたので、納得できる物件が見つかるまでは引っ越すつもりがなかった」と、彼はBusiness Insiderに寄稿している。家主は月500ドル(約7万円)の家賃を求めていたが、ローゼンバーグ氏は単純に別の家賃を提案した。「400ドル(約5万6000円)なら支払えると伝えると、彼はその提案を受け入れた」そうだ。
その部屋の家賃交渉の経験を生かして、ローゼンバーグ氏はのちのアパートや賃貸物件でも家賃交渉を行ない、節約に成功した。「家主も人間。彼らのほうからあなたの賃貸契約に歩み寄ってくれるかもしれない」と彼は語る。