自民党・NFT特別担当「Web3とNFTを岸田政権の“成長と分配”戦略の柱に」

平将明

2022年2月4日の衆議院内閣委員会でNFTやWeb3について質問する平将明議員。

写真:衆議院インターネット審議中継よりキャプチャ

2月4日に開かれた衆議院の内閣委員会のなかで、自民党の平将明議員が問いかけた質問と閣僚の答弁がSNSで話題を集めている。

平議員の質問は、ブロックチェーン技術などを活用した、分散型のインターネットを提唱する概念「Web3」や、デジタルデータを自分が所有していることを証明する技術「NFT(非代替性トークン)」の政策の方向性を問うものだ。

平議員は元内閣府副大臣としてクールジャパン戦略やIT政策などを担当。2022年1月からは、自民党デジタル社会推進本部の「NFT特別担当」も務めている。また、1月末に自民党が設立した「NFT政策検討プロジェクトチーム(NFT政策検討PT)」でも座長を務めている。

平議員の発言からは、NFT政策検討PTが進める、NFTや仮想通貨(暗号資産)をめぐる規制のあり方の方向性が垣間見える。

平議員は岸田文雄政権の「成長と分配」戦略の1つの柱として「Web3」を位置付けるべきだと主張。そのためには現行の暗号資産(仮想通貨)をめぐる税制に改革が必要なこと、また成長戦略としてNFTの規制の枠組みを整備していくべきだとした。

以下、質疑のやり取りを抜粋して掲載する。


Web3は「新しい資本主義」の柱になる

平将明議員(以下、平):(Web3はインターネットの可能性を)確実に変えるという前提で政策をつくっていく必要があると思います。岸田総理の新しい資本主義というのが今議論されておりますが、中身は分配戦略と成長戦略。まさに、スタートアップで成長意欲があるのはこのWeb3と、ブロックチェーン周りだと思います。

さらに分配で言えば、ブロックチェーンを使うことによって今までと違う分配のあり方(が実現できる)。

株式会社であればお金を持ってる人が株式を持って配当を受けるわけですが、ブロックチェーンを使えば、貢献をした人にいろいろな形で分配することができるのです。新しい資本主義って具体性は何なの?ってみんなが注目している中で、Web3を一つの柱として位置付けるということが極めて大事だと思います。

間違いなく、株式会社に代わる形で、株の代わりにトークンが使える「トークン式会社」っていう未来が見えている。

暗号資産の「課税」が一番の問題。「人材流出、半端ない」

平:一番の問題は、ブロックチェーン周りの課税の問題なんです

暗号資産のベンチャーがトークンを発行したときに、ガバナンストークン(※)という一定量のトークンを手元に持っていないとその先で主導権が握れず、色々な事業が進められない。

ガバナンストークン:ブロックチェーンのプロジェクトにおいて、その後の運営方針を決める議決権のような役割を果たすトークンのこと。保有するトークンが増えるほど、そのプロジェクトへの発言権も大きくなる仕組み。

今日本では(トークンが)時価評価で課税される。

しかもキャッシュになってないにも関わらず課税されますから、ブロックチェーン界隈のスタートアップや技術者は日本で創業できず、シンガポールに行かざるを得ないという状況。

ものすごい勢いで優秀な人材、将来有望なスタートアップが日本から流出している。このガバナンストークンに対する課税は皆見直すべきだと思います。財務省の考え方について、政務官にお伺いいたします。

答弁する藤原崇財務大臣政務官

答弁する藤原崇財務大臣政務官。

写真:衆議院インターネット審議中継よりキャプチャ

藤原崇財務大臣政務官:ガバナンストークンについての課税についての財務省の考え方は、一般論として申し上げれば、法人が年度末に保有し、活発な市場が存在する暗号資産については、売買目的で保有する有価証券や金銀などと同様に、時価評価で評価損益を計上することになっております。

取り扱いの理由につきましては、企業会計上も時価評価することとされていること。あるいは売却換金が容易であること。仮に時価評価を行わなければ、所得の発生する事業年度に含み損のある暗号資産のみを売るといった租税回避行為が、想定されることによるものであります。

こうしたことも踏まえ、ガバナンストークンについても、一般的には事業年度末に時価評価を行い、評価損益を計上するという扱いをしているところであります。

平:今のは財務省の理屈なんですよ。ブロックチェーンの特質上、(ガバナンストークンは)売買目的じゃなくても持たざるを得ない。全く利益が実現をしていないにも関わらず課税をしていくと

多分財務省は公平性といったところに着目をしているんだと思いますが、結果有能な人材の海外流出を促進させる税制になってるんです。これも間違いない。

今、政務官に「変えます」って答弁は絶対できないので、我々与党ですから、年末の税調(税制調査会)に向けて、どういう税制をすべきかというのは議論をした上で、政府に打ち返しをしていきたいと思います。

いずれにしても、本当に去年からもう人材流出、半端ないです。

(起業家の)先輩はなんてアドバイスするかというと、日本だけはやめておけと。とりあえずシンガポール、もしくは中東欧に行け、ということが起きてます。

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