宮迫博之さん・田村亮さんの謝罪会見では「珍字幕」が続出した。
画像:AbemaTVより
吉本興業所属の芸人たちの「闇営業」問題。
AbemaTVは7月24日、宮迫博之さん・田村亮さんの謝罪会見の総視聴数が1100万視聴を突破し、2019年に放送された番組の中でトップを記録したと発表した。 同じく、7月22日の吉本興業・岡本昭彦社長の会見は総視聴数が800万を突破したという。
そんな中、Twitterなどで話題になっていたのが、リアルタイムで字幕を生成する「AIポン(アイポン)」の存在。長時間の会見を通して、かなりの頻度で生まれた“珍字幕”ぶりに「会見の内容が頭に入ってこない」「このAIはなにを学習しているのか?」など、SNSでツッコミが殺到した。
「粉を30年間育ててくれた吉本に…」
出典:AbemaTV
7月20日、AIポンがTwitterで話題になり始めたのは会見が始まってすぐだったように思う。
- 静観→青函、性感、精悍など
- 僕の保身から来る→奥野おしんから来る
- と、入江くん→といれくん、イレブン
- 謹慎期間→妊娠期間
- 淳とコンビができなくなりすまないけど→淳とコンピューターできなくなりすまないけど
などなど、珍言・名言を連発。とりわけ、宮迫さん・亮さんが息をつまらせて涙ながらに語るシーンでは音声の認識が難しいのか、誤認識が多くなったように見える。
Twitterを見てみると、筆者のように感じていた人は多かったようだ。
「AIポンの本音がポン」
消化不良の会見、AIポンに癒された
宮迫さん・亮さんの謝罪会見ではシリアスなシーンの誤認識も多く、批判の声も多く聞かれたAIポンだが、一転、吉本・岡本社長の会見では、“AIポン応援ムード”が漂っていたように思う(あくまで筆者の体感値ですが)。
その理由は、5時間超という長丁場のためか、AIポン以上に岡本社長の答弁が迷走していたためか。
「AIポンも 長時間稼働で疲れてきたらしい」
「吉本が幻獣契約解除したことになってるの好き。グダグダな会見にうんざりの人はAIポンに癒されて」
間違いを許してあげたくなる名前
AbemaTVの担当者によると、AIポンはGoogle音声認識テキスト変換サービス「Cloud Speech-to-Text」 APIをベースに、AbemaTVとテレビ朝日が共同で開発した字幕システムだ。
2018年12月から導入が開始され、直近ではイチロー選手の引退会見でも活躍した。
AIポンの開発の舞台裏を描いたAbemaTVの渡邉星さん(お昼のニュース番組「けやきヒルズ」プロデューサー)の記事『世界初!「AIポン」誕生の裏側』によると、音声認識の精度が100%でないことから、当初は制作サイドから導入に否定的な声が上がっていたという。
それが一転、番組での使用を強力に後押ししたのが、サイバーエージェントの藤田晋社長だった。
「親しまれやすい、間違いを許してあげたくなるような名前をシステム自体につければいい」(同記事より)とのアイデアから、「AIが“ポン”と気軽に字幕を出す」という意味を込めて「AIポン」と命名された。
字幕の出力の様子にもこだわったという。一文字ずつタイピングをさせたり、あえて「打ち直し」させるなど、AIが「まるで思案しているように見える動き」をデザイン。
この結果、SNSでは「ガンバレ!」「成長したな……」と、AIポンに対してまるで人間のように語りかける人まで出てきているそう。「入江くん、だよ」と間違いを優しく指摘してあげる人の姿も見られた。この藤田社長の“読み”は大当たりだった、と言えそうだ。
「頑張れAIポン」(GLAY・HISASHIさん)
振り込め詐欺グループのパーティーに参加した「闇営業」から、芸能界のパワハラ・労働問題にまで飛び火し、大騒動になっている今回の一件。
お笑い芸人の皆さんが心のわだかまりなく笑いを生み出せる日は訪れるのだろうか。
(文・写真、西山里緒)