注目ZOZOSUITのセンサー技術は「本物」か? 開発元NZ企業に聞く —— 精度は「人の仕立てよりはるかに高い」

瞬時に体のサイズが寸法できるスタートトゥデイの「ZOZOSUIT」で一躍名前が知られたニュージーランドのスタートアップ「StretchSense」(ストレッチセンス)。1月17〜19日に東京ビッグサイトで開催中の「第4回ウェアラブルEXPO」に日本初のブースを出展している。

従業員130人以上のStretchSenseには1人だけ日本人社員がいる。唯一の日本人社員、戸塚徹哉さん(31)が紹介するのはZOZOSUITを支える伸縮センサーだ。

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日本初出展のStretchSenseのブース。左から、ニュージーランド大使館の今村吉文さん、StretchSenseの戸塚徹哉さん。

展示ブースには、センサーが付いた手袋と膝のサポーターなど、実演デモ用のセンサーが並ぶ。センサーはシリコン製で、伸び縮みに応じて変化する静電容量を計測・解析し、BluetoothやWi-Fiなどで、対応機器に伸縮度合いをデータ化する。

センサーを伸び縮みさせると、デモアプリに、センサーの伸び縮みの値がリアルタイムでグラフ化されている。センサーがどれくらいまで伸びるかというと、約2倍まで。センサーに布製のカバーをつけることで、センサーが伸びて切れることを防ぐことができる。2次元や3次元の動きは、複数のセンサーを組み合わせることで計測できる。

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センサーの着いたグローブ。手の甲の部分に、チップなどを収納している。

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センサーが着いたグローブの裁断前。

例えば、センサーがついた手袋やサポーターはリハビリ中の患者の動きをデータ化し、遠隔地でも診療が受けられたり、スポーツ選手の体の動きを可視化できたりといったことに応用が考えられる。将来的には、手の動きを合図にして車の鍵を開ける、電話に出るといった日常の動作も、可能になるかもしれない。

ストレッチセンス

センサーが着いた、ひざ用のサポーター。

肝心のZOZOSUITの展示はなかったが、150種類のセンサーが内蔵されるZOZOSUITは、1万5000カ所のデータを測ることができるという。

気になるのは、寸法に対する精度だ。「企業秘密だが、人が仕立てをする場合は平均で3〜4センチの誤差が出ると言われるが、それをはるかに下回る」と戸塚さんは自負する。

戸塚さんは米国系の通信業社から、2016年9月にStretchSenseに転職。通信業社でテレビ会議の業種を扱っており、「(StretchSenseのような技術で)遠隔地でも握手ができるようになるかもしれない」と技術に親近感を覚え、「センサーが世界を変えられるかもしれない」と転職を決めた。

StretchSenseのスタッフの出身国は「30〜40カ国くらい」と多国籍だが、日本人は戸塚さんだけ。現在は、営業とプロジェクトマネジメントを担当している。スタートトゥデイとの連携には「StretchSenseは、本当にセンサー1つから始まった、ニュージーランドの小さなスタートアップ。すごい光栄なこと」と戸塚さんは受け止めていた。

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ベン・オブライエンCEO。2011年に、StretchSenseを立ち上げた。

出典:StretchSense

StretchSenseは、ニュージーランドのオークランド大学の学内ベンチャーとして、ベン・オブライエンCEOと、トッド・ギスビーCTOが2011年に設立した。

会社の設立までに産学連携の支援を受けたため、ブースでは、ニュージーランド大使館商務部の担当者も対応した。

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StretchSenseの伸縮センサー。

StretchSenseは現在、ニュージーランドとアメリカの2拠点にオフィスを構え、28カ国のテック企業に対して、伸縮型ソフトセンサーの開発及び製造を受託している。

成長率の高いテック企業のランキング「2017 Deloitte Fast 50」で、ニュージーランド国内の企業の中で7位にランクイン。スタートトゥデイは、2016年にStretchSenseに出資し、2017年11月には100%子会社化を視野に、コールオプション契約を締結することも発表している。子会社化が実現すれば、追加出資金額は約7200万ドル(約80億円)となる見込み。

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出典:スタートトゥデイ

StretchSenseはホームページで、ZOZOSUITの目標は、オンラインで衣類を買う顧客に寸法を確実に合わせ、「顧客満足度を大幅に向上させ、小売業者が処理する返品数を減らすこと」と明記している。スタートトゥデイは11月22日から、ZOZOSUITの無料配布の受付を始めたが、受付当日だけで23万件の注文が寄せられ、11月下旬から予定していた配送がストップしている。スタートトゥデイの広報担当者は「なるべく早く配送したい」と話している。今回、StretchSenseが出展しているウェアラブルEXPOは、業界関係者のみの商談会で、一般入場はできない。

(文、写真・木許はるみ)

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