婚姻時に夫婦が別姓を選べない戸籍法は憲法に反するとして、ソフトウェア企業「サイボウズ」の社長、青野慶久さんら4人が国を相手に計220万円の損害賠償を求めていた選択的夫婦別姓訴訟で、東京高裁(小川秀樹裁判長)は2月26日、原告らの訴えを棄却した。
原告側は最高裁に上告する意向を示している。
●作花弁護士「法的に欠陥があるのは明らか」
訴状などによると、原告側は日本人のカップルが離婚した際に戸籍法の手続きをすれば「婚氏続称」ができることや、日本人と外国人が結婚した際も夫婦別姓が選べるのに対し、日本人のカップルが婚姻する時だけ「戸籍法上の氏」が選択肢にないのは違憲であると訴えていた。
東京高裁は一審判決を支持し、「原告側が指摘する取り扱いの違いは、民法750条の規定が適用されているかどうかによって生じている」と指摘。「本来比較の対象とならない場面をとらえ、これらの間の取り扱いの差異が合理性のない差別に当たるとするものにすぎず、採用することができない」として訴えを棄却した。
判決後、青野さんは東京・霞が関で会見を開き、「大変、残念に思っています」としながらも、社会的に選択的夫婦別姓の導入を望む機運が高まっていると指摘。「最高裁に行きます。ゴールは立法です」と語った。
原告代理人の作花知志弁護士も、「現在、旧姓の通称使用が行われていますが、法的に根拠のない名前です。最高裁でも女性の判事の方たちが旧姓を通称使用しており、法律の最高機関が、法律上根拠のない名前で判決を書くということが起きています。法的に欠陥があるのは明らかです」とコメント。最高裁にあらためて判断を求めると語った。
選択的夫婦別姓をめぐっては、2015年12月に最高裁で夫婦同姓を規定した民法750条を 「合憲」とする判決が下されたが、あらためて実現を求めて、2018年に複数、各地で提訴されている。また、地方議会でも国会に選択的夫婦別姓制度を検討するよう求める意見書が次々と可決されている。
(編集部注:15:25に判決要旨と会見の様子を追記しました)