「中学生の娘が、同じ学校の男子生徒にきわどいコラ画像を作られてしまいました。どうしたら良いでしょうか」
ある保護者が、SNSで打ち明けた悩みです。投稿によると、娘は男子生徒から好意を寄せられており、勝手に娘の顔写真ときわどいグラビアアイドルの体の写真を組み合わせた画像を作り、周囲に見せたとのことです。
また別のSNSでも、中学生を名乗るアカウントから、こんな投稿がありました。
「同級生の男子たちが勝手に私の写真を使ってコラ画像を作っています。やめさせるにはどうしたら良いでしょうか。学校に相談しても、隠蔽されそうです」
今、技術が発達して、スマホやAIによって、子どもでも簡単に画像の加工ができてしまいます。そうした中、子どもが画像を勝手に使い、コラ画像を作ってしまうケースが後を断ちません。
子どもがきわどい画像や、悪意のある画像を本人の許可なく加工してしまうことに、法的な問題はないのでしょうか。日向一仁弁護士に聞きました。
●14歳以上は刑事責任問われる可能性も
——本人に無断でその画像を使用して、きわどいコラ画像や、悪意のあるコラ画像を作る行為に法的問題はないのでしょうか。
コラ画像であっても児童ポルノに該当する18歳未満の児童の裸姿・下着姿等の写真等を所持したり製造したりすると、いわゆる児童ポルノ法に違反する場合はありえます。この場合、所持等をしていたのが14歳以上であれば刑事責任を問われることがあります。
児童ポルノに該当しない場合で、かつ作成して誰にも見せていないという段階では、倫理上の問題があるとしても、作成について刑事責任を問うのは難しいと考えられます。
民事責任についても、作成のみの段階では難しいのですが、作成した画像を見せられて精神的苦痛を受けたということであれば不法行為に基づく慰謝料請求や、画像が公開されることを防ぐために相手に対して削除要求をおこなう等の方法も考えられます。
●他人に見せたり共有したりした場合にも法的リスク
——さらに、その画像をグループ内で共有したり、周囲の同級生たちに見せたりする行為に法的な問題はないのでしょうか。
民事上は肖像権及びプライバシー権侵害、名誉毀損として不法行為になる場合があります。
肖像権というのは、自分の容ぼう等をみだりに撮影・公表されないという権利です。加工されているとはいえ本人と認識できる写真であれば肖像権侵害となりえます。
プライバシー権は自分の私生活上の情報を無断で公表されない権利です。肖像権はプライバシー権の内容の一つとされています。この場合は慰謝料等を請求することが考えられます。
名誉毀損は、公然と事実等を指摘して人の社会的評価を低下させる行為です。民事として不法行為になる場合も、刑事罰として名誉毀損罪が成立する場合もあります。
実際、アイドルタレントの顔写真と別の女性のヌード写真等の顔とをはり替えて合成写真を作成しインターネット上で公開に掲載した事案について、その掲載する行為が名誉毀損罪に当たるとされた事例もあります。
児童ポルノに該当する写真等の場合には、それを第三者に提供したりするとやはり刑事責任が問われることがあります。
●拡散前に止めるため、早めの相談を
——今回は、未成年である中学生同士のトラブルになります。学校に相談して対応してくれない場合、どのような解決方法があるのでしょうか。
親に相談していただくのはもちろんですが、相談窓口としては、警察への相談や被害申告、弁護士や弁護士会等で設置している法律相談、法務省の人権相談などがあります。
内容によっては一種のいじめとも考えられますので、東京都のいじめ相談ホットラインのようないじめに関する相談窓口を利用しても良いでしょう。
こういった被害は拡散される前に止める必要があるので、一人で悩まずに早めにご相談することをお勧めします。