「バック」で275km/h? 電動ハイパーカー、後進の速度記録を樹立 リマック

公開 : 2023.11.08 18:45

・リマックのEV、ネヴェーラが「後進」速度で世界記録を樹立。
・ドイツのテストコースで275km/hを達成。世界最速のバックに。
・4基のモーターで最高出力1904ps。

世界最速の「後進」を披露

クロアチアの自動車メーカーであるリマックは、ハイパーカーのネヴェーラで市販車の「後進」速度における世界新記録を樹立したと発表した。

ネヴェーラは2021年に発表されたEV(電気自動車)で、今回ドイツのATP自動車試験場で行われた記録挑戦走行では、リバースで最高速度275.74km/h (171.34マイル)を達成したという。

後進速度記録に挑むリマック・ネヴェーラ
後進速度記録に挑むリマック・ネヴェーラ    リマック

ATPには長さ4kmのストレートが2本あり、メルセデス・ベンツフォルクスワーゲンなどのドイツ車メーカーが高速開発によく使用している。リマックによると、この場所が選ばれた理由は、以前ネヴェーラが「1日に20以上の加速とブレーキングの記録を更新した」場所だからだという。

ネヴェーラのチーフエンジニアであるマティヤ・レニッチ氏は「未知の領域」に足を踏み入れたとして、次のように語った。

「開発中、ネヴェーラはおそらく後進で世界最速のクルマになるかもしれないと思いましたが、そのときは笑い飛ばしていました。空力、冷却、安定性など、後進で高速走行するために設計されたものではなかったからです。しかし、やってみたら面白いのではないかという話になりました。シミュレーションの結果、240km/h以上は出せることがわかったのですが、安定性については見当がつきませんでした」

記録を打ち立てたネヴェーラは、これまでの記録挑戦車と同じグリーンとブラックのカラーリングをまとっている。テストドライバーのゴラン・ドルンダック氏は、「後ろ向きに、景色がどんどん遠ざかっていく。首を前に引っ張られる感覚は、強くブレーキを踏んだときとほぼ同じでした」と述べている。

ドルンダック氏は、バランスを崩さないようにステアリング操作を慎重に行ったり、ブレーキングポイントを意識したり、スピードに気を配ったりと、通常と異なるドライビングに苦心したという。

ネヴェーラには4基の電気モーターが各車輪の内側に取り付けられており、トラクション、安定性、そして「容赦ない加速」を実現するとされている。通常のギアは存在せず、モーターを単純に逆回転させることで今回の記録を達成した。

ネヴェーラはまた、最高出力1904ps、0-160km/h加速3.2秒、0-320km/h加速11秒弱という世界最速の量産EVとしても知られる。

ユーザーに納車される際、最高速度は352km/hに制限されているが、リマック主催の特別イベントなど限られた条件下では、412km/hまで引き上げることができる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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