「不要不急」の赤肉と砂糖はNG 勝間式超ロジカル料理
インターネット上には、医療や健康に関する「エビデンス」があふれています。でも、何をどこまで信じればいいのでしょう。健康への関心が高い経済評論家の勝間和代さんと、朝日新聞アピタル上で「ちょっと不健康でいこう」の連載を始めた医師の大脇幸志郎さんが、エビデンスの光と影をテーマに熱く語りました。(司会進行は朝日新聞アピタル編集長・岡崎明子)
「朝令暮改、当たり前」
勝間 エビデンスについては、インターネットで検索して調べるのと、医師に直接、尋ねることが多いですね。でも最新の論文はひっくり返ることもあるので、参考情報程度にして、うのみにはしません。
大脇 間違うかもしれない、という感覚は大事です。どうやってバランス感覚を取ってるんですか。
勝間 「朝令暮改、当たり前」と言っているのですが、その時のベストな判断は変わって当たり前。エビデンスって白か黒かではなく、グラデーションだと思うんです。
大脇 いま、コロナ対策で自粛をもっと厳しくした方がいいのか、それとも自殺者が増えるからやめた方がいいのか、という議論があります。でも、どちらもエビデンスがあるわけではなく、大きな判断は難しい。それを理解しあった上で議論すべきなのに、「こちらこそ正解だ」という論調に危なさを覚えます。
勝間 エビデンスは要因の一つに過ぎないのに、大げさに扱われていますよね。たとえば「赤肉を食べ過ぎると大腸がんになる」と言われているので、私自身は不要不急の赤肉は食べないようにしています。でもあえて自分で料理しないということで、外食先で出されたら、おいしく食べます。
大脇 すばらしいことだと思います。しっかりした考えを自分のなかで持っていると思うんですが、そのバランス感覚は、いろんな仕事を重ねてきた経験から生まれたのでしょうか。
勝間 私は金融畑なので、「ポートフォリオ理論」がベースにはあります。基本的に分散投資が一番リスクリターンがいいのですが、どんな食べ物にもメリット、デメリットがあるので、両方を合わせた方がリスクが低いだろうという考えです。
大脇 そういう発想は、理系だと意外と出てこないんですよね。医学研究は一つの要素がどれくらいの効果を及ぼしているかということを考えるんですが、無数の要素が同時に働いていますよね。ほかに生活の中で大切にされている要素はありますか。
「玄米論争」も解決
勝間 人間関係です。人間関係を壊してまで健康を保つ、というのはあまりにも不自然です。とくにご家族がいるとそのバランスは難しいと思います。よく、玄米を食べたい家族と白米を食べたい家族がいて互いに争う「玄米論争」を耳にしますが、両方炊いちゃえばいいと思っています。
大脇 仲良くするって大事ですよね。勝間さんは料理教室を主宰されていますが、参加者の間ではどんな話題が出ますか。
勝間 みなさん、砂糖を使う料理に慣れすぎているので、「砂糖を使わなくてもこんなにおいしいんだ」と感動されます。いくら健康によくても、おいしくないものは絶対続かないと思っているんで。低温調理をすれば基本的にはおいしくなるのですが、無理にクイック調理するから砂糖を添加しなきゃいけないんだよ、と伝えています。
大脇 なるほど。ちょっと帰ってみて、やってみようかな。
勝間 一番大きいのは、お子さんが野菜をちゃんと食べるようになることです。肉じゃがなんかも砂糖とみりんでごちゃごちゃ味を作るよりは、じゃがいも、にんじん、たまねぎを蒸して、おしょうゆをちょっと垂らしただけで問題なくおいしいんです。
大脇 蒸すだけだったら、私…