岡口基一氏の弾劾裁判、評議は3時間で終了 罷免決めた経緯が判明
仙台高裁の裁判官だった岡口基一氏(58)をやめさせる罷免(ひめん)判決を昨年4月に言い渡した弾劾(だんがい)裁判をめぐり、裁判官役の国会議員による「評議」の詳細がわかった。罷免するかどうかの議論が行われたのは約3時間で、結論はその後の無記名投票で決められていた。評議の内容は公表されないため、経緯が明らかになるのは異例だ。
裁判官は「司法の独立」を守るために憲法で身分が保障されている。弾劾裁判は「裁判官としての威信を著しく失うべき非行」があった場合などに、裁判官の職をやめさせるかを決める例外的な手続きだ。
岡口氏は、SNSの投稿で殺人事件の遺族を傷つけたなどとして13件の行為の責任を問われた。初公判から判決までは2年超かかり、公判は計16回に及んだ。
罷免の判決を決めたのは、裁判官役の「裁判員」だった衆参の国会議員12人。このうち複数の議員が朝日新聞の取材に応じた。結論を決めるために議員たちが話し合う評議は、公判が結審した昨年2月28日に行われた1回だけで、時間は約3時間だった。
「あるべき裁判とはほど遠かった」
このとき、意見がまとまらず、改めて話し合うべきだとする声も出たが、評議が再び開かれることはなかった。1週間後の3月6日、投票箱への無記名投票により、罷免判決に必要な3分の2以上(8人)が罷免に賛成し結論が決まった。
こうした経緯について、取材に応じた議員の中には十分な議論ができなかったとして「あるべき裁判とはほど遠い内容だった」と語る議員もいた。一方、裁判長を務めた船田元・衆院議員は「3時間であっても、非常に中身の濃い議論ができた」と説明した。
4月3日の判決は、岡口氏の投稿について「度重なる投稿で遺族に苦痛を与え続けた」とし、「国民の信託」に反しており憲法が保障する表現の自由として裁判官に許される限度を逸脱したなどと認めた。
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