洋上救急訓練、医師らが参加 出動は計1千件に 海上保安庁
増山祐史
遠洋を航行する船で発生した急患対応のため、医師や看護師がヘリや巡視船で駆けつける「洋上救急」の訓練が10日、海上保安庁の羽田航空基地(東京都大田区)で行われた。医療従事者ら計51人が参加し、ヘリを使った傷病者のつり上げ訓練を見学したり、機内での応急治療の方法を確認したりした。
洋上救急は、公益社団法人・日本水難救済会が事業主体となって1985年に制度が創設された。船から救急要請があると、医師が必要と判断すれば、巡視船やヘリが医師や看護師を乗せて向かい、機内で処置を進めながら病院へ引き継ぐ。協力病院は全国144に上り、今年9月に出動回数が計1千件となった。
移動中のヘリは騒音で声が聞こえないため、ヘッドホンでやり取りをする。機内には心臓マッサージ機もあり、参加者は体験搭乗して、使い方などを学んだ。日本医科大付属病院で専攻医の下西颯さん(28)は「機内は思っていたより狭いが装備もそろっているので、持って行く物を厳選した方がいいと感じた。訓練で学んだことを同僚にも伝えたい」と話した。