ネット上の情報を抽出して収集する「スクレイピング」という技術を使い、保育士向けの職場紹介サイトを運営する東京都渋谷区の会社が、保育園に関する「口コミ」を別の園紹介サイトから無断で転用していたことがわかった。集めた口コミの文言を生成AI(人工知能)で改変し、自分たちで正当に得たものと装って自社サイトに掲載していた。
同社は朝日新聞の取材に無断転用を認め、該当する記載を削除し、転用元の他社に謝罪する意向を示した。就職先選びで重視されうる口コミが、最新技術で不正かつ大量に生み出される実態が浮かんだ。
このサイトでは11月24日現在、約4万の保育園が表示されており、そのうち一部の園の評判を記した口コミは計1万件あまりとなっている。
民間調査会社によると、同社は就職や転職を望む保育士をサイトなどに誘引して保育園につなぎ、採用が決まれば園側から報酬を得ている。
社長「無断転用は1千件」
朝日新聞は8月以降、同社に複数回取材を申し込んだ。11月19日に取材に応じた男性社長(26)によると、同社は他のサイトに掲載された保育園の口コミを、スクレイピングで集めていた。
スクレイピングはコンピューターのプログラムを用いて機械的にデータを集める方法。得た情報をそのまま公開するなどした場合は著作権法に抵触するとの認識があり、同社は生成AIにデータ改変を指示し、口コミの表現を変えたという。
社長は取材に、転用したのは2社のサイトの口コミで、自社サイトに無断転載した件数は約1千件と説明。他に転載はないとした。
「園の方針」→「園のポリシー」、「丁寧な指導」→?
朝日新聞が確認したところ…