トヨタ会長の「北米基準の1800キロ」で試験 基準は06年に廃止
トヨタ自動車で車の大量生産に必要な「型式指定」を巡る認証不正があった問題で、不正があった後面衝突試験で、トヨタの豊田章男会長が「北米基準」と主張していた基準が2006年に廃止されていたことが国土交通省への取材でわかった。
国交省関係者によると、基準は、日本や欧州は小型車が多く、アメリカは大型車が多いなど各国の実情に沿ったものになっており、より重いもので試験をすれば安全性が高まるというものではないという。より重いものに耐えられるよう車体のフレームなどを強固にした場合、ブレーキや燃費の性能に影響することもあるという。
後面衝突試験は車の追突事故を想定した試験で、日本を含む国際基準では重さ1100キロの台車を衝突させるルールだが、トヨタは1800キロの台車を用いて試験を実施していた。
6月の会見で豊田会長は「後方からぶつけられた場合の北米基準だと、1800キロの重さを後ろからぶつけなさい。ところが、日本の基準だって1100なんですね」と述べ、「日本で認可できた車が、やっぱり世界で一番ね、厳しいあれを通っているので、大丈夫ですよというふうになっていた方が非常にシンプルになってくると思います」などと述べていた。
だが、1814キロの台車を用いるという米国の基準は06年に廃止され、現在は1361キロという。
トヨタの宮本真志・カスタマーファースト推進本部長もこの会見で、「より厳しい条件の試験」をしていたと繰り返した。
また、国交省は31日、立ち入り検査などの結果、トヨタの後面衝突試験で、車両にダミー人形を搭載して試験を実施していたという新たな不正も確認されたと発表した。
シエンタの後面衝突試験では、試験車両の重量を軽く見せるため、書類には軽くした重量を書く不正も見つかったという。