時空超えた「ガイドブック」誕生 明治以降の愛知の名所60カ所紹介
明治から現代まで、愛知県内の名所を紹介する「ガイドブック」が誕生した。編著を担当したのは、3月末まで豊橋市図書館の副館長だった岩瀬彰利(あきとし)さん(60)。地域に詳しい大学教員や学芸員ら28人がそれぞれの切り口で、寺社だけでなくレジャー施設など、約60カ所を取り上げている。
タイトルは「明治・大正・昭和 愛知の名所いまむかし」(風媒社)。A5判165ページの「ガイド」には、寺社や史跡だけではなく、現存する幅広い名所が登場する。
力を入れたのは、なくなったり、忘れられたりして、今では知る人も少なくなった名所を数多く取り上げた点だという。
たとえば、戦前・戦後を通じて銀幕で活躍した、時代劇界の大御所、片岡千恵蔵が1968年に小牧市に開業したレジャーランド「小牧ハイランド」(後に小牧千恵蔵ランドに名称変更)や、名古屋市の鶴舞公園にあったが、1945年の空襲で焼失した、金閣寺を模した貴賓館「聞天(もんてん)閣」、伊勢湾台風で砂が流失し、忘れ去られた豊橋市の「高塚サンドスキー場」など。
こうした失われた名所が誕生した経緯や背景も詳しく紹介している。本を手に、姿を消した名所に思いをはせる「時間旅行」が楽しめそうだ。
バス会社が昭和初期に蒲郡市内で開発した「新箱根」など、いまではほとんどの人が知らない名所も登場する。最近では、2023年3月に営業を修了した「名鉄レジャック」も取り上げた。
4月から九州龍谷短期大学(佐賀県鳥栖市)の教授に就任し、司書を養成する図書館情報学を教えている岩瀬さん。「名所はまわりの人が盛り上げないと残らない。いま残っている名所は、その魅力もあるが、関係するまわりの人がしっかり盛り上げている」と話す。
本の中では特に東三河を重視した。「岩屋観音の新旧観音像の比較や、吉田城の軍隊の石垣改変はぜひ知って欲しい」
価格は1980円(税込み)。県内の主要書店やインターネットで販売されている。今月25日に知立市の正文館書店知立八ツ田店でトークショー「名所はつくられ淘汰される~西三河の名所いまむかしから」に出演する予定という。
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