新幹線「東京-札幌4時間半」は可能?貨物の大動脈が抱えるジレンマ

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編集委員・堀篭俊材
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 北海道新幹線札幌延伸に伴い、JR北海道から経営分離される函館線の函館―長万部間をめぐり、現在1日約40本走る貨物列車の本数を減らし、一部を船舶による海上輸送に切り替えるよう求める声があがっている。貨物列車を今のまま残すと新幹線の高速化が実現できず、JR北の経営再建が遠のくためだ。同区間の鉄道貨物のあり方を話し合う国や道の有識者会議は、船舶輸送に切り替えるメリットや課題を検討する方針だ。

 「貨物鉄道の運行本数を減らせるかどうか模索していただく必要がある」。函館―長万部間の鉄道物流のあり方を話しあおうと、昨年11月末にスタートした有識者会議。メンバーの北大公共政策大学院の石井吉春客員教授が主張した。

 有識者会議は学識者4人やJR北、JR貨物、北海道経済連合会やホクレン農業協同組合連合会などで構成され、非公開で行われた。後日公表された1回目の議事概要によると、石井氏は「JR北の経営を安定させるには新幹線の高速化が絶対条件だ」とも語っていた。議事概要は匿名で公表されたが、朝日新聞の取材に石井氏が発言を認めた。「列車を減らした分は船舶への置き換えを想定している」と石井氏は話す。

■「JR北の経営自立なければ赤字路線は存亡の危機」

 JR北は1987年に旧国鉄から分割民営化されて以降ずっと営業赤字が続いている。2016年に新函館北斗―新青森間で開業した北海道新幹線もコロナ禍の影響もあり利用は伸び悩み、22年度は約128億円の営業赤字だった。30年度末に予定される新幹線の札幌延伸をきっかけに、JR北は翌年度に国の支援に頼らず経常損益ベースで黒字化を果たす「経営自立」をめざす。

 自立の前提は新幹線の高速化…

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