納豆臭、糸引く栗…行列のできるマフィン、消費期限は適切だったのか

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福岡龍一郎 三井新
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 東京都江東区で11、12日に開かれたイベントで販売されたマフィンを食べた複数の客が、腹痛や嘔吐(おうと)などの症状を訴えるトラブルがあった。マフィンは「消費期限」内だったにもかかわらず、一部はすでに腐敗していたとみられている。消費者は何を信じて商品を買えば良いのか。

 「すごく臭い。納豆みたいなにおいがする」。東京都清瀬市の会社経営の男性(49)は12日夕方、妻(46)と日中に買ったマフィンの「異常」に気付いて食べるのをやめた。翌日に中学2年の長男(14)も口にしてすぐ吐き出したが、下痢を起こした。

 買ったのは栗マフィン四つで計1千円。一つひとつは大きく、お得感があるとその時は思った。マフィンの販売ブースには行列もできていた。

「買うのも食べるのも怖く」

 購入時に消費期限は13日と確認し、「食べても大丈夫だろう」と思っていた。しかしよく見るとマフィンは生焼けで、中に入っている栗は糸を引いていた。男性は「マフィンを買うのも食べるのも怖くなった」。

 同じくマフィン四つを11日に買ったという会社員女性(42)も13日までに食べたところ、その翌日から下痢になった。職場のデスクとトイレを何度も行き来した。「粉を食べているような味」だったといい、「素人がつくったようなマフィンだった。裏切られた」と憤る。

 別の購入者の女性(41)は「下手をすれば人を殺したかもしれない。品質をないがしろにしないでほしい」と訴えた。

砂糖は「半分以下」で「焼きたて」

 マフィンの販売業者は東京都目黒区内にある菓子店。会場内で栗やチョコチップなど、9種類のマフィン計約3千個を販売した。消費期限は種類によって異なるが、イベント終了翌日である13日から16日までとされた。

 イベントの主催会社は同店から出店の申し込みを受け、食品衛生責任者の資格を取得していることなどを条件とした上で、過去にも出店の実績があることを踏まえて選定した。出店にあたっては生産物賠償責任保険の加入証書や、商品のアレルギー表示に関する情報などの提供を受けたという。

 同店が会場で配ったチラシによると、マフィンは「熊本県産小麦粉100%」で、砂糖の量が市販の焼き菓子の「半分以下」。「防腐剤添加物も使っていない」「焼きたてなので、冷凍OK」とうたっていた。

 しかしその後、腹痛や嘔吐などを訴える複数の連絡が寄せられたことを受け、店を管轄する目黒区保健所が15日に立ち入り検査。店は14~20日に商品を回収し、返金の手続きを進めているが、問題発覚後は閉業して営業再開の予定もないという。

製造量が許容範囲超えたか

 区保健所の聞き取りに対し、店主はイベントの5日前である11月6日から1人でマフィンを作り始めたものの、「数千個のマフィンを保管する場所がなくて、空調を18度にして保管した」と説明。購入者の証言から、購入者が食べた時点ではすでに腐敗していた疑いがあるという。

 保健所によれば、同店へのこれまでの定期的な検査で問題が見つかったことはなく、今回以外にクレームなどが寄せられることもなかった。担当者は「小さな店舗に対して製造量が店で対応できる範囲を超えて、今回の問題が起きた可能性もある」と話す。

「本日中にお召し上がりください」の理由

 店が示した消費期限は適切だったのだろうか。

 消費者庁によると、消費期限…

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