京都三名閣の一つ、国宝・飛雲閣を特別公開 西本願寺が12日から

筒井次郎
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 浄土真宗本願寺派の本山で、世界遺産西本願寺京都市下京区)が、秋の「京都非公開文化財特別公開」で、飛雲閣(ひうんかく、国宝)と書院の浪之間(なみのま)・太鼓之間(重要文化財)を特別公開する。開祖・親鸞(しんらん、1173~1262)の生誕850年を記念した取り組みだ。

 飛雲閣は、京都の幹線・堀川通に面した広い境内の南東隅にある。築地塀の門をくぐると、名勝庭園・滴翠園(てきすいえん)の奥に3層こけら葺(ぶ)きの楼閣が現れる。

 金閣、銀閣とともに「京都三名閣」と並び称され、左右非対称でありながら調和のとれた独特の姿が、滄浪池(そうろうち)に反射する。

 桃山~江戸初期の建築とされ、柱が細く障子が目立つ1層部分など、全体が軽やかで空に浮かぶ雲のようだとして、その名がついたといわれる。

 1層には主室のほか、池に面して舟の入り口もある。2層の戸板には三十六歌仙の絵が描かれ、3層は8畳の部屋がある。2017~20年に修理された。

 特別公開では、説明を聞きながら池越しに見学する。寺の担当者は「市街地の中にある別世界で、歴史的な雰囲気を味わってもらえたら」と話す。

 境内南側にある書院の浪之間(36畳)は、玄界灘の荒々しい波を描いた障壁画からその名が付いた。隣の太鼓之間(11畳)は、格天井(ごうてんじょう)に様々な形の太鼓が描かれている。

 書院は親鸞の月命日(16日)に毎月特別公開されているが、この2部屋は対象外。担当者は「公開の機会が特に少ない部屋。西本願寺の奥深さを知っていただけます」と話す。

 特別公開は12~21日。御懇志(ごこんし、拝観料)は各大人1千円、中学・高校生500円。京都古文化保存協会主催、朝日新聞社特別協力。電話075・451・3313(同協会)。

 また、境内では12~23日に「お西の市(いち)」が初めて開かれる。伝統工芸品や名産品の店のほか、ハンバーガーなどのキッチンカーが多数並ぶ。電話075・371・5181(西本願寺財団法人設立準備事務室)

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この記事を書いた人
筒井次郎
文化部|大阪駐在・歴史担当
専門・関心分野
世界遺産、京都・奈良、寺社・遺跡などの文化財