米国で改良型原発が新規稼働 日本も2030年代運転へ動く産官学
米ジョージア電力「ボーグル原発」の3号機が7月31日、営業運転を始めた。1979年に起きた米スリーマイル島原発の事故後、新たに着工された原発の稼働は初めて。工期が延びて建設費も膨らみ、「米国で最も費用がかかった原発」となる見込みだ。
緊急時に自動冷却の改良型も… 建設は遅れ、費用も増大
ボーグル原発では1、2号機がそれぞれ87、89年に稼働。3、4号機(いずれも110万キロワット級)は米原子力規制委員会(NRC)から2012年に建設・運転の認可が出た。NRCの許可は34年ぶりだった。
3、4号機は米ウェスチングハウス(WH)が開発した「AP1000」。改良型の加圧水型炉(PWR)で、すでに中国では同じ型が4基稼働している。
外部電源喪失などの緊急時、運転員が操作しなくても自動的にタンクの水が重力によって流れ込んで原子炉の冷却が維持される仕組みを備えるという。ポンプやケーブルなど部品の数を減らして建設費と工期を短くするという特徴がある。
しかし、米国での建設予定は大幅に遅れ、建設費も膨らんだ。
東芝の子会社だったWHは17年、建設を受注していたボーグル原発やほかの原発の工費が大きく増えたことで、米連邦破産法の適用を申請。東芝は、WHが電力会社に支払うべき債務を保証する必要があり、約58億ドル(当時のレートで約6505億円)を支払ったという。
東芝はWHを売却。サウスカロライナ州に新設予定だったAP1000の2基は建設が中止された。
ボーグル原発3号機は16年に運転を開始する予定だったが、この影響で稼働が遅れた。その後も遅延が続いたが、5月末に100%の出力を達成していた。
ボーグル原発では4号機の稼働も来年初頭までに予定されている。
米国も福島事故後は規制強化、新規原発は尻すぼみに
米エネルギー省が3月にまとめた報告書によると、ボーグル原発3、4号機の建設費用は当初130億ドルとされていたが、約320億ドルになった。
ボーグル原発の建設費がふくらんだのはなぜなのか。日本国内でも、学会と民間、政府が改良型原発の建設へ向けて動いています。
報告書は「設計が未完成のま…
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