キーウ訪問、岸田首相に高いハードル G7で唯一、まだ実現せず
バイデン米大統領が20日、ウクライナの首都キーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。ロシアのウクライナ侵攻から1年となる24日が近づくなか、主要7カ国(G7)で首脳のキーウ訪問を実現できていないのは日本だけとなった。今年のG7広島サミット(首脳会議)の議長でもある岸田文雄首相は訪れていない。首相は「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と訴え、ゼレンスキー氏からキーウ訪問を要請されている。首相は訪問に前向きだが、実現には様々なハードルがあるのが実情だ。
「首相のキーウ訪問については、現地の安全対策など、諸般の情勢を踏まえながら検討を行っているところだが、現時点では何も決まっていない」。松野博一官房長官は21日午前の記者会見でこう述べた。
首相は20日、東京都内での会合で、24日にゼレンスキー氏も招いてG7首脳テレビ会議を主催すると表明した。生活支援やインフラ復旧などのため、新たに55億ドル(約7370億円)の追加財政支援も発表。政府は当初、24日の侵攻開始1年にあわせてキーウを訪問し、ゼレンスキー氏と会談することも検討していたが、見送りに。政府関係者によると、ゼレンスキー氏も交えたテレビ会議開催は、キーウを訪問しない場合の「代替案」だったという。バイデン氏のキーウ訪問が明らかになったのは首相がテレビ会議を表明した直後だった。
首相のウクライナ支援への熱意自体は、低いわけではない。5月に開催するG7広島サミットで、ウクライナ情勢を主要な議題にする考えだ。首相官邸関係者からは「キーウ訪問には政治的意義がある」「現地の状況を見ているのと、見ていないのでは(説得力が)違う」との声も上がる。
ウクライナ側も首相のキーウ訪問を求めている。1月の両首脳による電話協議ではゼレンスキー氏が訪問を要請。ドイツ・ミュンヘンで今月18日に開かれたG7外相会合にあわせて林芳正外相と会談したクレバ外相も「岸田首相のウクライナ訪問が重要だ」と伝えた。
ただ、実現にはハードルがある。
最大の課題は、激しい戦闘が…