ミャンマー軍事政権に「お墨付き与えた」 国葬招待の日本政府へ批判

野平悠一
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 安倍晋三元首相の国葬ミャンマーの駐日大使が参列する様子を同国外務省が27日に写真付きでSNSなどに掲載した。人権団体などは、「国軍が実権を握る国の参列は、軍事政権にお墨付きを与える行為だ」として、国葬に招いた日本政府の対応を批判している。

 ミャンマーでは、昨年2月のクーデターで国軍が実権を掌握。その際、弾圧で多数の死者が出た。日本政府は欧米諸国などとともに「重大な懸念」を表明し、国軍に対して民間人に対する暴力の即時停止や被拘束者の解放、民主的な政治体制への早期回復を求めている。

 一方、安倍氏の国葬をめぐり、日本政府は外交関係を結ぶ国すべてに開催を通知した。外務省は「葬儀という性質に鑑みて判断した」と説明しており、ミャンマーなど特定の国を除外しなかったという。ウクライナへの侵攻を続けるロシアにも通知した。

 これについて、在日のミャンマー人や人権団体などからは国葬に参列させないよう求める抗議の声があがった。しかし、日本武道館東京都千代田区)で開かれた国葬には、ソー・ハン駐日大使が参列。その様子をミャンマー外務省がホームページやフェイスブックに掲載した。

 国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の笠井哲平さんは、「軍事政権がミャンマーを代表する正統な政府であるというプロパガンダに使われている。国際社会が一丸となってお墨付きを与えないようにしているのに、日本政府は逆行する行為をしている」と批判している。

 英メディアによると、今月開かれたエリザベス女王の国葬には、原則として英国が外交関係を結ぶ国々が招待された。しかし、ロシア、ミャンマー、シリアなどは招かれなかったという。

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