ロシアの思惑、利害が交錯 「日本も当事者」 ウクライナ危機の深層

有料記事今さら聞けない世界ウクライナ侵略の深層

聞き手・佐藤達弥
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 ロシアがウクライナに侵攻する懸念が続いています。米国の「弱腰」姿勢につけ込むようにロシアは要求を突きつけています。なぜロシアは、いま動いたのでしょうか。そして、ウクライナ危機は、日本も無関係ではありません。中国の動向も含め、アジアの安全保障、外交問題に複雑に絡み合ってきます。国際安全保障や現代欧州政治が専門の鶴岡路人・慶応大准教授に聞きました。

 ――まずそもそもなぜ今、ロシアがウクライナに軍事圧力をかけているのでしょうか。

 ロシアは冷戦後、欧州で続いてきた国際秩序を変えたくてしょうがないのです。冷戦後の欧州秩序の基礎が形成されたのは、旧ソ連の崩壊前後や、ロシアの国力が今より低かった時代です。そのため、ロシアにとっては不利な秩序だと感じるわけです。NATO(北大西洋条約機構)は東欧に加盟国を広げて拡大し、ロシアはそれを黙認するようなかたちになりましたが、当時は国力が弱かったためにやむを得なかったということなのでしょう。

 その後、エネルギー価格の高騰にも支えられて、経済が成長したことに加え、プーチン大統領が就任した2000年以降は政治的にも安定を取り戻し、欧州の秩序を作り変えたいと考えるようになったとともに、その力も獲得したのです。

 ――ロシアが欲する欧州の秩序とは、NATOにこれ以上拡大させないことでしょうか。

 表向きにはそうなのですが、たとえばウクライナのNATO加盟は全く進んでいません。NATOにとっても、今日の議題ではありません。そのことはロシアも知っているはずですから、ウクライナのNATO加盟を阻止するために10万人を超える部隊を集結させたとはとうてい信じられません。

ロシアの真の狙いとは

 ――では、ロシアは本当は何を望んでいるのでしょう。

 ロシアが一番恐れているのは…

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この記事を書いた人
佐藤達弥
国際報道部
専門・関心分野
昭和史、ジェンダー、中東・ロシア
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