「パディントン」「うさこちゃん」 児童文学者の松岡享子さん死去
「しろいうさぎとくろいうさぎ」「くまのパディントンシリーズ」などの訳書で知られる東京子ども図書館名誉理事長の松岡享子(まつおか・きょうこ)さんが25日、86歳で死去した。病気療養中だった。葬儀は近親者で行った。後日お別れの会を開く予定。喪主は養女松岡恵実(えみ)さん。
35年、神戸市生まれ。60年、慶応大学図書館学科を卒業後渡米し、ウェスタンミシガン大学大学院で児童図書館学を学ぶ。ボルティモア市の公共図書館、大阪市立中央図書館勤務を経て自宅で家庭文庫を開き、74年、故石井桃子さんらと東京子ども図書館を設立した。子どもたちを本の世界に誘(いざな)い、図書館員らの人材育成にも努めてきた。東日本大震災後、同図書館で始めた復興支援プロジェクト「3・11からの出発」を牽引(けんいん)、岩手県陸前高田市の陸前高田こども図書館の運営に協力した。
主な著書に「なぞなぞのすきな女の子」「子どもと本」、訳書に「しろいうさぎとくろいうさぎ」「くまのパディントンシリーズ」「ゆかいなヘンリーくんシリーズ」「うさこちゃんシリーズ」など多数。
69年に「くしゃみ くしゃみ 天のめぐみ」でサンケイ児童出版文化賞、71年に「ゆかいなヘンリーくんシリーズ」「とこちゃんはどこ」で児童福祉文化奨励賞、86年度に子ども文庫功労賞、99年に巌谷小波文芸賞、11年に日本児童文芸家協会児童文化功労賞を受賞。昨年、文化功労者に選ばれた。