中国の「ゼロ・コロナ」、世界経済のリスクに? 米コンサル会社予測

ワシントン=園田耕司
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 著名な国際政治学者イアン・ブレマー氏が社長を務める米コンサルティング会社ユーラシア・グループは3日、毎年恒例の「世界の10大リスク」を発表した。2022年の1位には、中国が目指してきた新型コロナウイルスを完全に封じ込める「ゼロ・コロナ」政策が失敗し、世界経済が混乱する事態を予測した。2位には巨大IT企業の強まる影響力、3位には11月に予定されている米中間選挙を挙げた。

 1位に挙げた中国のコロナ対策は当初、成功しているかのように見えたが、感染力の強い変異株「オミクロン株」などの流行で完全な封じ込めは実現不可能だと分析。しかし、中国は「ゼロ・コロナ」政策に固執して都市封鎖などを続け、サプライチェーン(供給網)は混乱。インフレに拍車がかかり、世界経済が不安定化すると予測した。

 2位には、巨大IT企業の影響力が強まる世界を挙げた。個人の生活が巨大IT企業の作ったアルゴリズムの影響を受け、デジタル空間に陰謀論が広がるリスクを指摘した。

 3位には米中間選挙を挙げ、バイデン大統領の支持率低迷で、野党共和党が上下両院の過半数を奪還する可能性を指摘。中間選挙は24年米大統領選に密接に影響すると分析し、共和党内で影響力を強めるトランプ前大統領が次期大統領選で再選する可能性にも言及した。

 4位に「中国内政」、5位に「ロシア」、6位に「イラン」、7位に「化石燃料から持続可能エネルギーへの転換に伴う混乱」、8位にアフガニスタンなどの「力の空白地帯」、9位に「文化戦争に敗れる多国籍企業」、10位に「トルコ」を挙げた。

 ユーラシア・グループは、リーダーなき世界を「Gゼロ時代」と名付けて注目されたブレマー氏が社長を務め、1998年から年初に世界政治や経済に深刻な影響を及ぼす事象を予測。21年の1位は、バイデン大統領(当時前副大統領)を挙げ、大統領選で分裂の深まった国家の統治の困難さに直面し、外交面でも自身が期待するほどのリーダーシップを発揮できない、と分析した。

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この記事を書いた人
園田耕司
政治部次長|政権担当
専門・関心分野
日米政治・外交安全保障、国際政治