公文書管理、紙から電子へ ルール見直しの意見公募 8日に締め切り

編集委員・谷津憲郎
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 公文書の作成・保存などのルールの見直しを内閣府が進めている。文書管理の基本を紙媒体から電子媒体に改めるのが大きな柱だ。一方で、メールやツイッターLINE、noteなどで交わされる情報の扱いについては原則が不透明なままだ。政府は、来年1月に公文書管理法施行令やガイドラインを改定する予定で、国民の意見を募るパブリックコメントを8日夜に締め切る。

 公文書管理法の施行から10年がたち、デジタル化への対応などが必要だとして、内閣府が公文書管理委員会(委員長・小幡純子上智大大学院教授)に見直し案を11月に示していた。

 新しいガイドライン案では、「電子媒体による文書の作成・取得」や「電子文書による保存」を基本とする。紙で入手した文書も、スキャナーなどでデジタル化したものを「正本」とし、もとの紙は1年未満で廃棄できる。スキャンの過程で改変されていないという真正性の担保が課題になりそうだ。

 メールについては、これまでのガイドラインでも、意思決定過程や事業の合理的な跡付けや検証に必要となるものは行政文書に該当するとし、原則として保存するよう求められていた。これは残る。

 しかし、情報ツールの多様化で、省庁内や外部とのやりとりはメールにとどまらない。こうした電子情報の網羅的な扱いは、新しい案に記されていない。SNSやウェブサイトでの発信の扱いについては、ガイドラインとは別に「課長通知」で細目を記述するとしている。

 このほか、公文書の保存期間を、施行令よりもあらかじめ長くできるようにする▽公文書の保存期間を延ばす際に必要だった首相報告をなくす――などが盛り込まれている。

 公文書管理に詳しい龍谷大の瀬畑源・准教授は「国立公文書館に移管しないまま、役所が長期にわたって公文書を持ち続けることが、さらに常態化してしまうのではないか」と懸念を示す。

公文書管理法の施行令・ガイドライン改定案の主な変更点

施行令

・法律や閣議決定に関する文書の保存期間を30年から20年に改め、その後は国立公文書館に移す

・公文書の保存期間を、あらかじめ施行令より長くできるようにする

・公文書の保存期間を延ばす際に必要だった首相報告をなくす

ガイドライン

・電子文書による作成保存を基本とする

・内容を整理し、細目は「課長通知」にうつす

・年度をまたぐ事業の公文書を一つのファイルにまとめられるようにする

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