ピタゴラスは遅かった 三平方の定理「最古の応用例」
紀元前2千年ごろから数百年にわたって栄えた古バビロニア(現在のイラク)の遺跡で見つかった粘土板に、直角三角形の3辺の長さの比を表す数の組み合わせや、それを利用した図形の面積などが描かれているのが見つかった。数学の知識が豊富だったバビロニア人が、土地の測量に定理を応用していたことを示す証拠という。
粘土板に「直角三角形」 数学者が解明
直角三角形の3辺は、斜辺の長さの2乗が、もう2辺のそれぞれの2乗を足した数に等しいという「三平方の定理」が成り立つ。式では「aの2乗+bの2乗=cの2乗」で、中学校で学ぶ幾何学の代表的な定理の一つだ。
豪ニューサウスウェールズ大のダニエル・マンスフィールド上級講師は、1894年にイラクで発掘された古バビロニア時代の粘土板に、3辺の長さの比が5対12対13と8対15対17の直角三角形が描かれているのを発見した。
粘土板はトルコの博物館に保管されていたもので、直径10センチほどの円形。くさび形文字や図形が描かれ、三角形二つを合わせた長方形の面積も記されていた。土地の契約に関する記述もあることから、畑を分割した時の測量図とみられる。
バビロニア人が三平方の定理を理解していたことはすでに知られていたが、今回の発見で、直角を必要とする面積の測量で実際に三平方の定理を使っていたことが確認されたという。
■「三角関数表」も存在 測量…