郵便局での6億円超の切手横領、日本郵便が告訴を断念
藤田知也
神田郵便局(東京)の60代の元課長代理が大量の切手を着服・換金したとされる問題で、日本郵便は8日、刑事告訴を断念すると発表した。相談した警視庁から、証拠がそろわず「犯罪事実の特定が困難」などと伝えられたためだとしている。
同社は国税庁からの情報提供をきっかけに元課長代理を調査し、切手を着服していたと判断。2019年1月に懲戒解雇した。元課長代理は横領を否認したが、銀行口座にあった6億7千万円を日本郵便に払うことには応じた。日本郵便はこれが被害額に近いとみて受け取ったという。
日本郵便は昨年秋に告訴する方針を固めたが、換金の証拠などが集まらず、警視庁から難色を示され、告訴を断念したとしている。
警視庁幹部によると、日本郵便の提出書類に数字の偽造の形跡があり、事実の特定が難しかったためという。
日本郵便では、芝郵便局(東京)や堺中郵便局(大阪府)でも同様の横領で1億円超の被害があったとして、横領した局員が逮捕されている。