ユートピアの印象は誤り 縄文時代からあったご近所問題

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聞き手・神宮桃子
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 縄文と聞いて何を思い浮かべますか。その日暮らしだけれど、誰もが平等なユートピア? 弥生時代に取って代わられた停滞した文化? 「どれも誤ったイメージです」と、縄文文化に詳しい東京都立大の山田康弘教授は言います。縄文時代には現代につながる社会のかたちができてきて、「ご近所問題」も既に起きていたとか。北海道・北東北の遺跡群が世界文化遺産に登録される見通しとなり、注目を集める縄文とは?

世界史で唯一無二、平等ではなかった複雑で高度な文化

 ――世界史的に見て、縄文文化にはどんな特徴があるのでしょうか?

 世界史上例を見ない唯一無二の文化です。西アジアやヨーロッパでは旧石器時代から新石器時代になった時、ムギを中心とした農耕や、羊やヤギの牧畜が始まるとともに、定住生活に移行しました。農耕では土地によって収穫量に差が出るなど、人々の間に差が出てきます。やがてその差が身分制度、階級社会につながり、そして国家ができあがっていく。こうした社会発達の道筋が世界史のセオリーです。

 ――縄文は違うのですね。

 縄文は獣や植物、魚介類をとる狩猟採集の段階ながら、定住生活をしているのが特徴です。それが可能だったのは、環境が良かったからです。氷河期が終わって温暖化が進み、四季が生まれ、ドングリがなる木やイノシシやシカといった動物が数多く出てきました。旧石器時代の人のようにあちこち動き回らなくても、自分たちの住んでいるところから一定の範囲で食料が入手できるようになりました。それにより定住生活へと次第に切り替わっていきました。

 しかしながら人間が集うと…

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