苦境ライブハウス「補助金に振り回された」 入金も遅く
「東京都内のライブハウスは客を入れて営業して良いのだろうか」。4月末、ライブハウス関連3団体が、国や都の要請をどう解釈するかで議論を重ねていたが、結論は出なかった。
3度目となる緊急事態宣言が発出され、イベントには無観客開催の要請がなされた一方で、飲食店は午後8時までの営業が認められた。ライブハウスの多くは飲食店登録をしている。「問い合わせると、オペレーターによって営業して良いという回答と、だめだという回答に分かれた」と日本ライブハウス協会の渡辺新二さんは語る。結局あいまいなまま、酒の提供はせず、午後8時までという「飲食店ルール」で営業を続ける店が多かった。
「売り上げ7割がお酒」
「ライブハウスの多くは、お酒の売り上げがあって初めてアーティストにお金を還元できる」。東京・下北沢のライブハウス「LIVEHAUS(リヴハウス)」店長のスガナミユウさんは、ライブハウス運営の実情についてそう語る。
同店では、酒の売り上げは全体の7割程度を占めるという。緊急事態宣言が延長され、ルール上イベントの開催制限は緩和されたが、依然として酒類の提供はできない。今回の宣言は、コロナ下の危機的な経営環境に、さらに決定的なダメージを与えることになった。「気力だけで1年耐えてきたが、まだ地獄が続くなんて」
元々経営規模が小さいライブハウスは、この1年で次々と閉店を余儀なくされている。頼みの綱だったのは、政府による補助金だ。しかし、その補助金にまで振り回された。
スガナミさんは昨年、同店の…