「日本は旧石器時代」SBI社長、東証の取引独占に憤怒

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筒井竜平
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 東京証券取引所を通さずに株式の売買ができる私設取引システム(PTS)の利用が、なかなか広がらない。株取引は東証が事実上独占する状態が続く。これに不満を爆発させているのが菅義偉首相に近いとされる、ネット証券大手SBIホールディングスの北尾吉孝社長だ。現状打破をめざし、3月に大阪で新たなPTSの運営会社を立ち上げる。来春には株取引を始める予定だ。

私設取引システム(PTS) 証券会社が独自に開設している取引システムで、Proprietary Trading Systemの略。証券取引所を通さずに株式などの売買ができる。1998年に金融規制改革で開設が解禁され、一時は大和証券など8社が参入した。だが、取引量が増えずに撤退が相次ぎ、現在はジャパンネクスト証券(SBI系)とチャイエックス・ジャパンの2社のみが運営している。

 PTSは証券会社が独自のシステムを使って運営している。夜間といった東証の取引時間外でも株式の売買が可能で、投資家がより有利な価格で取引できる場合もある。

 海外ではPTSなど取引所を介さない株式売買が活発だ。金融庁の資料によると、米国にはニューヨーク証券取引所やナスダックなど16取引所があるが、株式売買のシェアは計約60%。残りの約40%はPTSなどが占める。欧州でも取引所以外の売買が少なくとも3割程度あるという。

 一方の日本では、PTSのシェアは約8%にとどまる。残りの9割のほとんどが東証1カ所に集中している。PTSの開設が解禁された背景には、東証との競争によって互いの取引コストが効率化することへの期待があったが、現状はほど遠い。昨年10月に東証がシステム障害を起こした際も、PTSは代替機能を果たせなかった。

証券会社の「最良執行」 PTSを無視?

 日本でPTSが浸透してこなかったのはなぜか。その大きな要因とされるのが、証券会社の「最良執行」をめぐる対応だ。

 米国では投資家から注文を受…

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