時給10ドル、マスクなく急死 怒りの矛先は億万長者に
分極社会
「娘はスーパーを必要とする人のために働き続けた、ヒーローだった」。米東部メリーランド州の黒人女性ゼノビア・シェパードさん(53)は、目に涙を浮かべて語る。
娘のレイラニ・ジョーダンさん(当時27)は首都ワシントン郊外のスーパー「ジャイアント」で2014年から、最低賃金に近い時給10ドル(約1070円)ほどで働いてきた。しかし、3月下旬に39度を超す熱を出し、新型コロナウイルスの感染が確認された。亡くなったのは、わずか5日後だった。
「命の危険を冒して働く労働者は守られるべきなのに、マスクも手袋も消毒液も渡されなかった」とゼノビアさんは憤る。5月には米下院のオンラインの公聴会で「どうして娘は死ななければならなかったのか」と語った。
米国では新型コロナの感染が深刻になった3月、州知事らが相次いで、企業が在宅勤務に切り替えるよう命じた。だが、スーパーは「必要不可欠な業種」として通常営業を続け、従業員の感染が相次いだ。
東部マサチューセッツ州のスーパー「ウォルマート」は4月以降、従業員34人が感染。その一人で中国系移民のヨク・リーさん(69)は5月3日に亡くなった。一人娘のエレインさん(31)は「母は一生懸命に働き、女手一つで私を育ててくれた。彼女にとってのアメリカン・ドリームだった」と声を詰まらせた。
米国では6月から、新型コロ…
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