「だって私、あの人を追いかけてる私が好きなんだもの」
今敏(こん・さとし)監督の長編アニメ「千年女優」(2002年)の主人公・千代子がラストに放つセリフです。映画を見た人はたいてい、これを聞いてひっくり返ります。私もそうでした。
今監督が46歳の若さで亡くなって8月24日で10年になります。7月末に出た「ユリイカ」(青土社)8月号の特集「今敏の世界」でもいくつかの論考がこのセリフを取り上げていました。ならいっそ独立したテーマにしちゃえよ、と思ったので、過去のインタビューでうかがった話を合わせてあれこれ考えてみます。
まずは物語のおさらい。30…