児童ら10万人拍手 教頭「立って下さい」手は胸の位置
さいたま市の全市立学校168校で15日午前、児童・生徒計約10万人が新型コロナウイルスに対応する医療従事者らに向け全員で拍手する催しをした。市教委が「感謝の意を表することとしたのでご協力を願う」として全学校長に文書で実施日時や方法を通知していた。
「医療従事者の方々は最前線で未知のウイルスに立ち向かっている。ありがとうの拍手を送ろう」。午前10時前、市内のある小学校高学年の教室に、教頭による校内放送が流れた。市立学校はこの日、1日から始まっていた分散登校が、一部を除いて通常登校に切り替わった。この教室では社会の授業を中断し、放送で「立って下さい」と促されると、約40人の児童がおよそ30秒間、手を胸の高さに上げて一斉に拍手した。校長は取材に「行動を通じ、医療従事者への差別が許されないことや感謝することを理解してもらえれば」と話した。
別の4校では、テレビ会議システム「Zoom」を使い、市内の8医療機関と接続して直接謝意を伝え、市教委はその様子の動画を報道機関に提供した。その医療機関の一つ、さいたま赤十字病院(同市中央区)の安藤昭彦院長は「どこも大変な中、応援はありがたい。子どもたちによる『自分たちも頑張る』という決意表明だと感じた」と話した。
コロナ禍の中、医療従事者らに拍手でエールを送る「クラップ・フォー・ケアラーズ」は国内外で広まっている。ただ、市教委の主導で子どもを参加させる方法について、「『感謝の気持ち』は指示されて生まれるものなのか」(40代女性教員)などと現場では疑問の声も出ていた。
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