「私たちは二流市民ではない」 婚姻の平等、勝ち取った
日本の同性カップル13組が同性婚の合法化をめざして一斉提訴してから14日で1年となる。訴訟の行方を米国から見守る男性カップル、スチュアート・ガフニーさん(57)とジョン・ルイスさん(61)が1月末に来日し、米国で同性婚訴訟の原告として闘った経験を各地で語った。「婚姻の平等」を手にするまで、2人が心がけたこととは。
米国人男性カップルからのエール
日本の同性カップル13組が同性婚の合法化をめざして一斉提訴してから14日で1年。「婚姻の平等」を手にした米国人男性カップルが、心がけたことを伝えます。
スチュアート・ガフニー 1962年、米ウィスコンシン州ミルウォーキー生まれ。イエール大英語学部卒業。現在、カリフォルニア州立大サンフランシスコ校で公衆衛生の政策アナリストとして働く。
ジョン・ルイス 1958年、米ミズーリ州カンザス生まれ。スタンフォード・ロースクール卒業。弁護士として労働法や憲法に詳しく、エイズ患者の解雇は差別だとして雇い主を訴えた裁判など担当した。
2003年4月 もう耐えられない
2003年4月14日。この夜のことを、米カリフォルニア州サンフランシスコ市に住むジョンさんとスチュアートさんは今も鮮明におぼえている。
翌日は税の確定申告書の提出期限で、目の前のテーブルは書類の山。早く終わらせようと書き進めるジョンさんの手が、独身か既婚かなどを選んでチェックをつける項目で止まった。
連れ添って16年。家族として共に暮らし、お互いの父母やきょうだいとクリスマスや誕生日を祝ってきた。でも、法律上は「独身」と見なされる。確定申告書では「独身」にチェックを入れてきたが、「書いたことはすべて真実だと認める」という欄に署名するとき、矛盾を感じてきた。
「『独身』と『うそ』をつくことが、国にとっては『真実』になるのか」
婚姻した夫婦と同じように生活しているのに、国に「独身」だとうそをつき、夫婦より多く税金を払っている。うそをつき続けることにも、人として平等に扱われないことにも、もう耐えられない。その夜、2人は婚姻の平等を求める運動に関わることを決めた。
2004年2月 緊急のプロポーズ
04年2月12日も、2人にとって忘れられない日になった。サンフランシスコ市役所の前で婚姻の平等を訴える集会が開かれた。すると、当時の市長が突然現れ、同性カップルに結婚証明書を交付すると言う。
1人で集会にいたジョンさんは、仕事中のスチュアートさんにあわてて電話した。「とにかく今すぐ来て!」。緊急のプロポーズだった。2人はこの日、同性カップルとして全米で初めて結婚した10組のうちの1組となった。
この日からおよそ1カ月で世界8カ国、全米46州から4千超の同性カップルがサンフランシスコを訪れ、結婚証明書を手にした。「初めて『私たちは二流市民ではない』と思えた。ずっと『あなたたちの愛は一流ではない』と言われているように感じてきた」とジョンさんは言う。
だが、これでハッピーエンドにはならなかった。市による独自の証明書発行に、州が待ったをかけたからだ。2人は他のカップルと共に、同性婚を認めないのは州憲法に反するとして、州を相手に裁判を起こした。
■「どんな属性でも、愛する人…