【5722】鶯咲 純米(おうさき)【宮城県】
【A居酒屋にて 全7回の①】
酒友3人で、飲み会をやることになった。いつも決まった店で飲み会を開いているが、いつもとは違う居酒屋に行こうじゃないか、となり、Fが知っているA居酒屋に行くことになった。
酒メニューに知らないお酒がたくさん載っている。これだけで逆上気味だ。まず「鶯咲 純米」。まったく知らない銘柄。1升瓶を持ってきたお姐さんに「どこのお酒?」と聞いたら、「宮寒梅とこのお酒です」。おお、それなら知っている。寒梅酒造のお酒は、当連載でこれまで、8種類を取り上げている。落ち着いたお酒、というイメージがある。さて、いただいてみる。
酒蛙「メロンのような香りが適度。おおっ、甘旨酸っぱい! とくに酸が良く出ている。さわやかな酸がすごく良い。軽快でさわやか感のある口当たり。やわらか感もある。余韻に軽い苦み。クセがなくきれいな酒質」
Y 「酸がいいね」
F 「実にさわやか。すっきり。これは旨い。余韻は苦み」
酒蛙「クラシックタイプの、ライトボディー酒。あるいは爽酒。あるいは淡麗酸味酒。酸が良く出て軽めなので全く飲み飽きしない」
トップバッターから全員(といっても3人だが)に大好評のお酒だった。
瓶のラベルのスペック表示は「原材料名 米(国産)麹米(国産米)、精米歩合65%、アルコール度数15度、製造年月6.10」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だ。
ラベルに配置されている俳句が良い。「梅一輪 一輪ほどの あたたかさ」。日ごと春めいてくる様子を詠んだもので、松尾芭蕉の弟子・服部嵐雪の句という。
酒名「鶯咲」の由来について、酒屋さんのサイトは以下のように説明している。「暖かくなると訪れる『鶯(うぐいす)』と”心に春を咲かせたい”という想いで大崎市の『崎』に『咲』を当てて名付けられました」。なるほど、「鶯咲」も「おうさき」、蔵がある大崎市も「おおさき」。命名者はかなりの知恵者だ。
この蔵の主銘柄「宮寒梅」の由来について、日本の名酒事典は「昭和32年創業。“宮”は宮城県の宮でもあり、酒造りに欠かせない宮水を意味し、また、“寒梅”は万花に先駆けて咲く純潔な雄姿を思い命名」と説明している。