【書評】「いつ」を体内時計や年齢などの視点から解説!『When 完璧なタイミングを科学する』

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「いつやるの、今でしょ」って言葉が何年か前に流行ったが、この、「いつやるの」、ことのほか重要らしい。というのも、人間の生産性は、時間によって違うのだと言う。ここまでは僕含め、多くの人が知っているだろう。朝型とか昼型、夜型、というように分けたがる。特に、夜型というのはこの世界では不利なのだが。とは言え、この夜型も創造性が豊かだったり、洞察力が高かったり、帰納的思考が得意だったりと、有利な点もある。このように、色々な研究者が体内時計について調べている。だが、「いつ」というのは、何も体内時計だけではない。本書では、色々な「いつ」というのを紹介している。

 


本書の中で目を引いたのが、中年の危機という項目である。日本でもしばしば、「中年の危機」という言葉を聞くことがあるし、僕のかつての知り合いは、「中年の壁」、なんて言葉を作っていたと記憶している。僕は現在書いてる時点で25歳なので、この「中年の危機」というのを知らない。というか分からない。が、この本を読むと、その「中年の危機」の正体の一部が分かるかもしれない。そもそも、何故「中年の危機」と言われるのかと言うと、本書によると、何と「幸福度は50代で最低になる」というのだ。これには驚いた。僕は、20代で最も幸福度が低くなり、その後徐々に上がっていく、と思っていたからだ。でも、そう簡単にはいかないらしい。この幸福度現象の理由の1つを、著者は、「若い頃の希望が叶えられなかったと落ち込むからだろう」と、推測している。確かに見ていると、そのように映ることが多い。更年期障害とも、何か関係があるのだろうか。その点は非常に興味深い。

 


ところで、この本を読んでいると、「じゃあテニスなどの運動や勉強をしている50代はどうなのか」という疑問が出てくる。そもそもこの本では、幸福度がどのような要素なのかをさほど明らかにしていない。ここからは僕の考察になるが、勉強や運動など積極的に行動している人は、幸福度がそこまで下がらないのではないだろうか。根拠はないので、一概には言えないだろうが、僕のテニス仲間で50代の男性がいるが、見た目がかなり若い。しかも、足が速くテニスの腕も高レベルだ。見てる感じ、幸福度が低いとは見受けられない。つまり、この本の「幸福度が低くなる」というのは、あまり積極的に行動していないことが、原因の1つなのではないだろうか。と、考えることも出来る。この本の面白いところがここで、あえて答えを書かないことで、読者に推察を促している。

 


この、ダニエル・ピンクと言う人は、様々な分野の本を書いている。「タイミング」を書いていると思いきや、「フリーエージェント社会」に関する本も書いている。「モチベーション」についても書いているので、彼自身知識の分野が広い。僕も惚れ惚れしている。彼は、社会や経済、技術などの論文や記事を執筆している。特に、彼の『フリーエージェント社会の到来』という本は、特に印象的だ。仕事の仕方から投資の話まで載っている。もう一度読もうと思っているくらいだ。

 


そんな技術も能力も高い彼が書いた本を、是非とも読んで頂きたい。

 

 

 

参考文献

 


ダニエル・ピンク(2018)『When 完璧なタイミングを科学する』勝間和代(訳) 講談社