最高裁 平成16年11月08日 第三小法廷決定
平成13年(あ)第25号 収賄被告事件
1 収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂についての追徴の方法
2 収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂について,その総額を均分した金額を各自から追徴することができるとされた事例
収賄の元北茨城市長、実刑が確定へ 最高裁が上告棄却
(asahi.com)
茨城県北茨城市のゴルフ場開発にからみ、不動産会社側から現金1億5000万円を受け取ったとして収賄罪に問われた元同市長・豊田稔被告(60)について、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は8日付で上告を棄却する決定をした。懲役2年6カ月、追徴金7500万円の実刑とした一、二審判決が確定する。
同小法廷は、元市長の共犯として収賄罪に問われた支援者の農業梶山正範被告(57)についても上告を棄却する決定をした。懲役2年6カ月執行猶予4年、追徴金7500万円とした一、二審判決が確定する。
一、二審判決によると、90~91年、豊田被告は梶山被告と共謀し、ゴルフ場開発で有利に扱う見返りとして不動産会社グランディー(東京都千代田区、倒産)側から計1億5000万円のわいろを受け取った。
(11/09 23:18) (朝日新聞)
<参照法令・判例等>
刑法
(没収及び追徴)
第百九十七条の五 犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
最高裁昭和30年12月8日決定・刑集9巻13号2608頁
旧関税法第八三条の規定により同一の共用先般又は犯則貨物に関し共同正犯たる各犯人に対しそれぞれの価額又は原価の全額を追徴する言渡をしても、かかる判決はその全員に対し重複してその全部につき執行することが許されるわけではなく、その中一人に対し全部の執行が了れば他のものに対しては執行し得ない。
最高裁昭和33年4月15日決定・刑集12巻5号916頁
関税法第一一八条第二項の規定により犯罪貨物等の価格に相当する金額を追徴するには、共同正犯者の個々に対しその全額を追徴する旨言渡しうるのであり、ただ犯人のいずれかが右追徴金の全部または一部を納付したときは、納付済の部分につき重ねて執行しえないというにすぎない。
最高裁昭和33年3月5日判決・刑集12巻3号384頁
一 旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前のもの)第八三条第三項は、共に起訴された共犯者の一人または数人がその物の所有者であることが明らかである場合には、必ずしも、右共犯者全員のそれぞれに対し、各独立して物の原価全額の追徴を命じなければならぬものと解すべきではなく、その物の所有者たる被告人のみに対して追徴を命ずることも、許すと解するを相当とする。そして右条項を以上のように解しても同条項は憲法第一四条に違反しない。
二 犯人の占有にかかる密輸出入行為の用に供した船舶が、裁判官の差押令状に基いて差し押えられ、その後検察官の刑訴第二二二条第一二二条に基く換価処分により公売処分に附せられた結果、他人に競落されたとしても、没収の関係においては、これによつて犯人の右船舶に対する占有は失われるものではない。