はじめてWEBエキスパート(専門家)コラム 色彩とコミュニケーション(全6回)

テーマカラーを変える場合に気をつけたいこと――色彩とコミュニケーション#5

一度決めたテーマカラーを変えるには何らかの理由が必要ですが、ではどのような場面でテーマカラーと異なる色を使えるのか、ページごとに色を変えたりすることにはメリット
※「はじめてWEB」は2020年10月13日をもってサービスを終了しました。

一度決めたテーマカラーを変えるには大きなリスクがあり、基本的にはビジネスが順調であれば、テーマカラーを変える必要はありません。色を変えるには何らかの理由が必要ですが、ではどのような場面でテーマカラーと異なる色を使えるのか、ページごとに色を変えたりすることにはメリットがあるのかをまとめてみました。

テーマカラーを変えるデメリット

印象に残りにくくなる

どのような店舗やサービス・Webページであっても、繰り返し見られたり訪れられることによって困ることはありません。覚えられることを一つの目標とするならば、印象が変わるような大きな色の変更はリスクが伴います。

一度決めた店舗の看板や外装の色を変えるのは難しいのですが、これがWebページであれば、背景色や文字色を変えるのにコストはほとんど掛かりません。

背景色を変えるだけでも全体の印象は変わってしまう

そのため、変化を起こしたい時に変えやすいWebページの背景色を変えるという手段を使ってしまうことがありますが、あらゆる色の変更には慎重になるべきです。

Webページの色の変更は、実店舗が存在する場合には、店舗とWebサイトの色のイメージに差が生じます。それによってWebで店舗を発見した人が実際に店舗を訪れた際に、看板の色が違うためわかりにくかったとか、記憶にある店舗と印象が異なりとまどったというようなことが起こります。

Webと実店舗が連携する場合には、異なった色が戸惑いを生む

また有益な情報が掲載されているWebページはお気に入りやブックマークに登録されるのがよい反応ですが、必ずしも全ての人がそのような機能を使いこなしているわけではなく、その都度検索によってページを訪問する人もいます。その時に印象深い色を継続的に使っているのであれば、「青いロゴのサイトに書かれてあった」や「全体が緑のグラデーションのページに確か掲載されていた」のような印象を残せる可能性が高くなります。色を頻繁に変えることは、覚えられているという大きなメリットを享受する機会を失わせます。

機会損失を減らすためには、企業・サービスのテーマカラーは変える必要がないものを最初から準備しておきたいものです。

色を変えてよい場合って?

その色が認知されていないか、イメージを変えたい場合

そもそもその店舗やサイトがあまり人に知られておらず、記憶されていないと考えられる場合には、大きく色を変えてもそれほど大きく影響は出ないはずです。

あるいは何らかの企業の合併やサービスの変更などで、一気に従来のイメージを変えたい時にも色は変更されますが、この場合にはWebサイト・販促物・看板などを同時に変更するのが効果的です。このような一括変更は主に予算に余裕がある大企業などで行われており、その際にはプレスリリースが出されるなど、イメージの浸透を早めるための施策も合わせて行われます。

ページやカテゴリごとに色を変える

前述の通り、同じイメージを伝え続けたいのであれば、同じ色を使い続けるのが基本です。しかし伝えるべき相手によっては、色を変えたいところなどもあります。例えば子供向けのコンテンツと大人用のコンテンツが1つのサイトに含まれていたり、異なるイメージの複数の商品が1つの冊子に同居している場合などです。そのような場合には、それぞれの内容によって色を変えても構いません。

ただし、全てガラッと色を変えてしまうのではなく、Webページの場合にはヘッダ部分は各ページ共通のまま残しておいたり、冊子や書籍・カタログでは、それぞれのページに表紙と同じ色をどこかに残していくようにします。色を変えたとしても元のテーマカラーをどこかに残しておくことで、最初に決めていたテーマカラーの印象が完全に失われずに済みます。同じ場所に同じ色が目に入るようにしておくとなおよいでしょう。

無理に色を揃えて、違和感が生じるような場合には、もちろん出来る範囲で構いません。

もっとも目に触れられやすいものから優先的に色を変える

全く異なるイメージが並んで見える場合には、違和感やごちゃごちゃした印象を与えてしまうこともあります。冊子などであれば見開き単位、Webサイトならページ単位で変えるようにするのが基本です。

色はビジネスを助けるためのもの

色は単にビジュアル表現を彩るだけのものではなく、ビジネスの手助けをする役割を持たせることができます。思いつきやその時の気分で色を変えるのではなく、「その色を見る人のイメージがどれくらいプラスされるか」や「どのようなデメリットを生じるのか」を考えた上で変えるようにしましょう。

特にWebサイトやパンフレットなど、情報を伝えるための媒体では、文章やキャッチコピーを見せるための色の部分的な変更や内容のブラッシュアップの方が効果が高いことも多いため、安易に全体の色を変えないようにしたいものです。

色を変える際は、以下のような順序で確認をし、問題がある部分をまず改善します。どうしても全体の色を変えなければならないという理由が見つかった時だけ、大きな色の変更をするようにしましょう。

1.本文読めることが最重要。読みにくければすぐに改善。
2.キャッチコピー本文・上下の画像や文章より目立つように。
3.イラスト・写真重要な意味や写真そのものを見てもらいたい場合には、サイズを調整する。それでも収まらない時に控えめな色のものに変更。
4.表紙・全体の色どうしても必要なイメージにならない場合のみ変更。

色を変える場合の順序。全体の色を変えるのは最後の手段であると考える

このコーナーのコンテンツは、KDDI提供の情報サイト「はじめてWEB」掲載の「エキスパート(専門家)コラム」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしているものです。

※「はじめてWEB」のオリジナル版は掲載を終了しました

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

リファラー
ブラウザがWebサーバーに送信する情報(アクセスログ)のひとつで、ユーザーがリン ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]