SNS公式アカウントへのクレーム対処法――「不謹慎だ」など3つの批判パターンと適切な対応
ユーザーの何気ない批判コメント、その対応でアカウントの真価が問われる
企業のソーシャルメディア運用において、FacebookやInstagramに公式アカウントが投稿を行うと、ユーザーがコメントを書き込みます。Twitterでは、ユーザーがリプライしたり、リツイートとともに意見を書き込んだりといった反応が起こります。そして、インターネットの世界で発信する以上、厳しいコメントが書き込まれることもあります。
以前の記事で、「ソーシャルメディアにおける炎上」について採り上げましたが、炎上まで至らなくても、
- アカウントの発言内容や、ふだんの振る舞いについての批判
- 不祥事が起こった場合など、その企業の姿勢についての批判
- 製品やサービス、店舗での出来事へのクレーム
などが、コメントとして投稿されることは多々あり、どう対応すべきか悩むことがあります。
これは、ソーシャルメディアを始めた企業さんに共通の悩みのようで、危機感を覚える担当者が少なくありません。オープンな場で安易にやりとりすると、他のユーザーに対して思わぬ影響を与えてしまう場合もありますからね。
今回は、こうした批判的なコメントを見かけたときに、どう対処するのがよいかを、以下のパターンごとに考察してみましょう。
- ソーシャルメディアへの投稿内容を批判された場合
- 企業姿勢や事業内容を批判された場合
- 製品・実店鋪を批判された場合
ソーシャルメディアへの投稿内容を批判された場合
ソーシャルメディアへの投稿内容を批判するコメントとしては、たとえば、こんな風なものがあります。
災害の直後なのに、こんなカラフルな写真を投稿するのは不謹慎だ
○○が楽しかったってことは、××は楽しくないということでしょうか?
企業のソーシャルメディア活用では、一般的に長文投稿を行うことはありません。ニュースフィードやタイムラインに長い文章を掲載しても、どんどん流れて全文読んでもらうことが難しいので、画像や短い文章で訴求するほうが効果的だからです(そもそもTwitterは140文字を超えて投稿できませんし)。
そして、短い文章だと、言葉が足りなくて、真意が伝わらず誤解を生むことがあります。
こうしたケースでは、当然ですがほぼ100%、企業側に悪意はありません。しかし、「社会の情勢」「現在その企業がおかれている状況」などの周辺事情により、善意の投稿が悪意で捉えられてしまう場合があります。
こういう場合は、いきなり反論せずに、まず不快感を与えたことについて、しっかり謝罪をしましょう。そのうえで、発言の真意を、ていねいに長い文章で補完しましょう。
大切なのはていねいに真意を伝えること。
発端となった投稿は、関係部署に確認したうえ、速やかに削除する。ただし、のちに社で報告する際など、投稿画面そのものが必要となるケースがあるので、削除する前に画面キャプチャを撮影しておくこと。「誰が」「何に」怒っているのかを見きわめて適切に対応する。
- 謝罪: 「気分を害して申し訳ございませんでした」など。投稿内容を安易に取り消すと、元の発言そのものを否定することになりかねないので慎重に。
- 背景の説明: 「ご指摘のとおり○○でした」「本来は○○という意図でした」など
- 今後の対応: 「今後は○○に配慮します」など
企業姿勢や事業内容を批判された場合
企業姿勢や事業内容を批判するコメントとしては、たとえば、こんな風なものがあります。
社員の不祥事が発表されたが、どうして○○しなかったのか
もっと環境に配慮した製品を出してほしいのに、○○な新製品ばかりだ
ソーシャルメディアでの発言とは関係なく、企業・事業・戦略に対して、ソーシャルメディア上で言及してくるパターンです。
報道やネットでの情報などを見たユーザーが、反射的に投稿を行っていることが多く、次のような不満をぶつけてくることが多いようです。
- 企業姿勢がユーザー自身の主義主張と異なる
- 事業の方向性に疑問がある
- 失策が許せない
このとき、手軽に企業側とコンタクトがとれることから、ソーシャルメディアのアカウントが標的になるわけです。
こうしたケースでは、反響の大きさやコメントの数にもよりますが、まずはユーザーが何に対して不満を持っているのかを見極めてください。「何十、何百と同様の言及がある」「いわゆる炎上に近い状態」という状態だったら、個別にレスポンス対応するのではなく、ある程度一括して回答するほうがよいでしょう。
ほとんどの企業では、ソーシャルメディアのアカウントの発言は、企業の公式見解ではないことを、ソーシャルメディアポリシーなどで謳っているはずです。最終的にはサイトのリリース文などに誘導するようにし、広報部門などに確認しながら事実のみをていねいに発信するようにしてください。企業としての公式な見解・謝罪の表明を待つのも大切です。
ただこの場合でも、平身低頭謝罪するのでなく、誤って伝わってしまっている情報については訂正し、事実関係を伝えることが重要です。
大切なのは企業としての対応を待って、それまでは、状況説明に努めること。
報道などで自社の話題が言及された際は、Twitter検索やYahooリアルタイム検索などを使って、自社に対する言及の内容をチェックし、“影響度の大きさ”を注視しておくこと。謝罪するべき内容、逆に間違った内容・事実無根な内容を見極め、それぞれに対し、別途対応すること。
- 謝罪: 「まずは今回の○○についてお詫びします」など
- 現状の説明: 「詳細は現在確認中です」「○○については×月×日に対処しました。ご指摘ありがとうございました」など
- 正確な情報: 「現在多くの方が言及されている○○は誤った情報です。正しくは○○です」など
- 公式情報の掲載: 公式サイトの謝罪文などへのリンクを紹介
製品・実店鋪を批判された場合
製品や実店鋪を批判するコメントとしては、たとえば、こんな風なものがあります。
○○を買ったけど、××が入っていなかった
○○町の××支店に行ったけど、担当者にこんなことを言われた
店舗を持っている企業もしくは商品を販売している企業の公式アカウントに対し、サービスや商品に対する不満をぶつけてくるパターンです。
まず、こうした投稿内容を発見したソーシャルメディア担当者は、現場の責任者などに、書き込まれた内容の事実確認をしてください。同時に、ソーシャルメディア上ではクレームに対して、「いま事実関係を確認している
」ことを伝えてください。情報が何も伝わってこないことが、ユーザーの最大のストレスになるのです。
一方で、前の2項目とは異なる点として、「特定個人が感じた内容・受けた体験が露見した」ことに注意してください。可能なら、メールやダイレクトメッセージなどで、詳細な内容を確認し個別に対応したほうがよいでしょう。
ご意見受付窓口のメールアドレスや入力フォームなどへ誘導するのも良策です。どの企業にも「顧客問い合わせ窓口」はあり、入ってきた意見に対して、担当部署が確認して、しかるべき対応をしているはずです。同じように考えれば大丈夫です(ソーシャルメディアというオープンな場でご意見をいただいた以上、迅速に動くことは必要ですが)。
大切なのは担当部署に的確に案内すること。
まず現場への確認作業が最優先。現場責任者が不在などで状況が不明な場合でも、従業員などに聞くなど、できる限り情報を収集する。事実が明確となった事象から順に公表し、全容が判明したら、その段階で改めて謝罪文などを掲載する。
- 事実確認: 現場担当者に確認
- 現状の説明: 「詳細は現在確認中です」「○○については×月×日に対処しました」など
- 詳細の確認: メールやダイレクトメッセージでのやりとりを試みる
- 担当部署の紹介: 正式な担当部署の連絡先などを伝え、ソーシャルメディア以外でコンタクトしてもらうよう促す
ネットでのクレーム対応は、冷静かつ慎重に
怖がらず、冷静かつ慎重に対応!っと……
ソーシャルメディアのアカウントを開設し、初めて批判的なコメントが書き込まれたときは、だれでも焦ります。しかし、まずは落ち着いて、影響の大きさと内容を見きわめて適切に対応すれば大丈夫です。
ネットでのクレーム対応は、「とにかく謝ればいい」わけではありません。
むやみに謝罪して、より不利な状況に追い込まれる場合もあります。謝るにしても「ソーシャルメディアでの発言内容などを批判された場合」のように、「気分を害したこと」については謝罪しても、発言内容や行動については、謝罪の必要がないケースもあります。
以下の3項目を常に考えながら、冷静かつ慎重に動いてください。
- 何に対して、ユーザーは反応しているのか?
- 謝罪は、必要があるのか?
- そもそも、反応するべきなのか?
ときには、根も葉もないゴシップ的な言及もあったりします。そんな場合はいちいち対応せずスルーしておいても問題はありません。ただあまりに影響があるようなら「いまソーシャルメディア上で言及されている◯◯の件は、事実無根です。実際は○○です」と、簡潔に投稿するのがよいでしょう。
ソーシャルメディアで「叩かれる」ことって、実はそんなに多くはありません。私が関わっている企業さんでも、各社で年に1回あるかないか程度です。ネットニュースなどで「炎上」とか「ツイッターで不用意発言」とか目にする機会が多いので、「ソーシャルメディアは怖い!」と感じてしまうのはわかります。しかし、それを補って余りあるメリットがあるからこそ、企業はソーシャルメディア活用を続けているのです。
ポイントをおさえれば、批判的なコメントも大丈夫です。怖がらずにソーシャルやりましょう!
田村でした。
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