「販売店の選択」で表示される地図にユーザビリティーの問題あり
「販売店の選択」で表示される地図にユーザビリティーの問題あり
第2ステップの販売店の選択は、まず地域を選択する。しかし図13の日本地図はクリッカブルではなく、意味をなしていない。最近のWebサイトでは、地図が表示される場合、直接地図をクリックして場所を選べる仕様になっていることが多いため、地図をクリックしてしまうユーザーは多そうだ。ここでは、左側の「北海道地区」「東北地区」「関東地区」「中部地区」「近畿地区」「中国地区」「四国地区」「九州・沖縄地区」の中から該当地域を選んでクリックしないといけない。
地区をクリックしたら、次に都道府県を選択し、候補の販売店を選択し、図12と同様な画面で、またいちいち確認させられるというプロセスだ。販売店を最終的に選択する画面(図14)では、地図も住所も表示されないので、販売店が複数表示された際、自宅に近いのはどちらなのかが見当もつかない。
また3ステップ目の「規約の同意」、4ステップ目の「ご要望」などは、それぞれにわざわざ1ステップ費やす必要はない。どこかのステップに組み込んで、同じ画面内で「同意ボタン」をつけたり、「自由意見の欄」などを設けたりする形にしてしまってもいいのではないかと思う。
入力フォームの項目数は適切だろうか?
5ステップ目の「お届け先のご指定」は、住所などを入力する部分だが、必須入力項目がかなり多い(図15)。ご存じのように、入力項目が多ければ多いほど、ユーザーは途中で入力を諦めることが多くなるため、離脱率が跳ね上がる。
この「お届け先のご指定」ページの入力フォームでは、以下の7項目が必須入力項目とされている。
- お名前(漢字)
- お名前(カナ)
- 性別
- ご住所
- 電話番号
- Eメールアドレス
- 生年月日
- ご職業
カタログを届けるのに、「性別」「生年月日」「職業」まで必須で入力してもらう必要があるだろうか? 「現在保有されている車について教えてください」の入力欄は入力必須ではないものの、「車種名」や「保有車年式」「次回車検予定」など、車検証を引っ張り出さないと記入できない項目ばかりで、見た目に負担感があるのが残念だ。
こうした入力項目を設けるのは、販売店データベースのレコードの仕様などの事情があるのだと思うが、現在の設計だと、実際にカタログ請求を完了するまでに、十数回のクリックと多数の情報入力が必要になると思われる。システム上の制約があるにしても、フォーム送信の完遂率を高めるには、工夫する余地はいろいろと残っているように感じる。
今回のまとめ
以上のレビューを踏まえると、アクセス解析的には、どういうところに着目して数字を見たらいいだろうか。一般的に、ユーザーに資料請求をしてもらうことなどが目的である「リード獲得サイト」のチェックポイントは、
- 直帰率
- 資料請求ボタンまでの誘導率
- 資料請求画面からの資料請求完了率
この3つが基本だ。トヨタサイトの場合は、ブランド指名が想定されるため、サイト内ナビゲーションと、コンバージョンまでの離脱率あたりがアクセス解析では重要なチェックポイントになると考えられる。今回の対象となった「カタログ請求」のページ遷移において、ポイントとなるのは以下の2点である。
- 資料請求までの各ステップにおける離脱率の把握
どのステップの、どのページでの離脱率が最も高いかを把握する。改良するページの優先順位を決める参考になるだろう。
- 地図をクリックしているかどうかの確認
クリックしている箇所を確認できるツールを利用し、日本地図を間違えてクリックしている人がどれだけいるかを確認したい。万が一、間違えてクリックしようとしている人が多いなら、日本地図をクリッカブルにするか、逆になくしてしまってもよいだろう。
◇◇◇
新連載の第2回はいかがだっただろうか? 次回は三菱東京UFJ銀行を取り上げる予定だ。時間があるときにでも、あらかじめ見ておいていただけると、来週記事を読むときに、ご自分の予想と比べながら読めるので、アクセス解析力のさらなるアップが期待できるだろう。
さてこの連載では、
- Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
- 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論
などを随時募集していきたいと考えている。希望者は、([email protected])までお寄せいただきたい。
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