あなたのDNSサーバー、大丈夫ですか?/知って得するドメイン名のちょっといい話 #2
自分のドメイン名の登録をきちんと管理するのは大切なことだ。でも、「更新手続きさえ忘れなければ大丈夫」と思っていないだろうか。今号では、意外と忘れられがちな「DNS視点でのドメイン名管理」を取り上げる。
ドメイン名は大切に
前号のドメイン名特集をご覧になった方はすでにおわかりかと思いますが、ドメイン名の登録をきちんと管理しないと、更新手続き忘れなどでいつの間にか自分のものでなくなってしまったりします。
著名なウェブサイトなどでも、更新忘れによってドメイン名を失ってしまった、というニュースを見かけますが、一度運用して対外的に広報したドメイン名は、皆さんにとって大きな財産とも言えるものですので大切に管理したいものです。
ところで、あなたのドメイン名のDNS、正しく運用されていますか?
DNSはドメイン名運用の「肝」
ドメイン名をウェブのURLやメールアドレスとしてインターネット上で利用可能にするためには、DNSの設定が必要です。レンタルサーバーのサービスでは事業者にすべて任せられる場合もありますが、DNSの役割は知っておいて損はありません。
図1は、典型的なドメイン名とDNSの運用の形です。
ドメイン名に関連するウェブサーバーやメールサーバーの名前とIPアドレスの情報などは、そのドメイン名の情報を管理するDNSサーバーに設定しておく必要があります。そして、そのドメイン名のDNSサーバーの名前を、ドメイン名の登録機関であるレジストリ(JPドメインの場合はJPRS)に登録しておきます。こうしておくことで、そのドメイン名はインターネット上で利用可能になるのです。
ドメイン名の情報を管理するDNSサーバーがうまく動いていなかったり、正しくレジストリに登録されていなかったりすると、ウェブサイトにアクセスできなかったりメールが届かなかったりなどのトラブルの原因となります。
「そんなことは知ってるよ」という読者の方も多いと思いますが、ではこのドメイン名を運用するレンタルサーバー事業者を変更する場合を考えてみましょう。
動いていないDNSサーバーの影響
DNSサーバーもレンタルサーバー事業者に任せていた場合、レンタルサーバーを引っ越しすると、DNSサーバーも引っ越し先のレンタルサーバー事業者に運用してもらうことになります。新しい事業者側で新しいDNSサーバーが用意されたら、運用の切り替えと共に、レジストリへのDNSサーバー登録も事業者が行うことが多いでしょう。
レンタルサーバー事業者の変更に関してはいろいろなトラブルがつきもので、念入りに計画を立てる必要があるということは前号の特集でも触れられていましたが、レジストリへのDNSサーバー登録が正しく修正されたかどうか、ということも重要なチェックポイントです。
ありがちなのが、古いDNSサーバーの登録が残ったままになっているというものです。新しい事業者は新しいDNSサーバーの情報を登録したが、古いものを削除しなかった、という場合に起こります(図2)。
元のレンタルサーバー事業者は、ユーザーとの契約が終了すれば、DNSサーバー上からドメイン名に関する情報を削除します。しかしこのとき、図2のようにレジストリに古いDNSサーバーの登録が残ったままだと、ウェブサイトを見ようとしたユーザーは50%の確率で古いDNSサーバーを参照することになり、「そんなドメイン名は知らない」という応答が返る、すなわち、ウェブサイトにアクセスできないということになります。
偽サイトに誘導される?
古いDNSサーバーの登録が残っている状況については、もっと深刻な事態も想定できます。
たとえば、元のレンタルサーバー事業者が廃業し、provider1.ne.jpというドメイン名が廃止されたとしましょう。そしてその後、悪意のある第三者がこのドメイン名を登録し、ns.provider1.ne.jpという名前でDNSサーバーを立ち上げて、そこであなたのドメイン名であるexample.jpに関する偽の情報を設定するのです。www.example.jpのIPアドレスが要求されたときに、偽コンテンツを用意した偽ウェブサーバーのIPアドレスを返すように。
このとき、ユーザーがwww.example.jpのIPアドレスを検索すると、50%の確率で正しいアドレスを、50%の確率で偽のアドレスを得ることになります。これがいかに危険な状態であるか、想像がつくでしょうか?
あまり頻繁に発生する事象ではないと思われますが、正しいDNSサーバーをレジストリに登録することは、あなたのサイトを訪れようとしたユーザーがあなたのドメイン名に正しくアクセスできるようにするために、とても重要なことなのです。
登録情報の確認方法
レジストリに登録されているドメイン名のDNSサーバーを確認するには、Whoisを使いましょう。JPドメインの場合はJPRSのWhoisサーバーをウェブブラウザーから利用できます。
※この記事は、レンタルサーバー完全ガイドの発行する雑誌『レンタルサーバー完全ガイドVol.3』(2005年11月29日発売)に掲載されたものを再編集して掲載しているものです。
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