PV稼ぎ? やたらとページをめくらせるうざいメディアサイトの狙いとは?
今朝は午前3時45分に起きて(いつもならそろそろ寝ようかという時間だ)、フィアンセに行ってきますのキスをして、アリゾナ州フェニックスへと飛んだ。16誌の週刊誌と数多くのメディア主体サイトやブログの運営者が集まる団体ビレッジボイスメディアの人たちとの、丸1日を費やす長い会議に出席するためだ。
その会議で、記事コンテンツのページ分割(ページネーション)に関する厄介な問題が議題にのぼった。
「CPM」とは、広告掲載料を表示回数ベースで決める契約形態を示す用語(本来は「1000回表示あたりの費用」の略語)。
この問題は、露出量で料金が決まるCPM契約のディスプレイ広告に売上を依存しているサイトの多くをひどく悩ませているので、今日はここでその問題を取り上げておこうと思う(シアトルには夜8時に着いて、タクシーで飛んで帰ってバネッサ・フォックス氏の火曜日の記事を読み、多少は睡眠時間をひねり出さなくちゃいけないんだけど、まあ、その話は置いといて)。
さて、ページ分割に関する基本的なジレンマを以下に挙げておいた。
- CPM広告の売上はページビュー数に基づいている(ページビュー数が多ければ、それだけ広告の表示回数も多くなるため)。
- 長いニュース記事(あるいは、同じような意味で長いコンテンツ)を分割して、より読みやすい長さの複数のページにすることは、(ユーザーの好みにもよるが)ユーザー体験の見地から見て良いばかりではなく、より多くのページビューが稼げ、結果として広告売上も増加する。
- SEOの観点から言うと、記事を複数ページに分割することは、一般に良くないこととされている。その理由は以下のとおり。
- 大半のリンク(内部リンク、外部リンクともに)が、記事の第1ページを指すようになり、以降のページが得るリンクジュースが第1ページと比べて大幅に下がる。
- 複数のページに個別のタイトルタグ(あるいはメタタグ)を付けるのは非常に困難だ(記事タイトルページ2とか記事タイトルページ12といったもの以外に、どのようなタイトルが付けられるというのか?)。
- コンテンツ全体を1ページに収めておけば、すべてのキーワードが、単一のより競争力のあるURLに集中するので、そのページにおいてミッドテールあるいはロングテールの検索トラフィックをずっと得やすくなる。
- 広告掲載サイトがなすべきことって何だっけ?
と、ここまで書いてきて、まだよくわからないという人のために、簡単な図でこの問題を説明したいと思う。
この問題には実は賢い解決策がある。ただ、多少怪しげだという不安もなきにしもあらず、という方法なのだが。それはCSSレイヤーとJavaScriptを使ってすべてのコンテンツを1ページに集めておき、クリックすればレイヤーが変わって2ページ目、3ページ目、と表示されていくようにする、というやり方だ。そして、広告も更新されて、ページビュー数も1つ「増える」。
上図のやり方なら、検索エンジンが拾うのは1つのURLだけで、そこにすべてのコンテンツが収まっている、という形になる。一方訪問者にとっては、より見やすい(人によって捉え方は違うが)形のページが得られる。そして、この広告掲載サイトは望みどおり、最大の「ページ」ビューが得られるという次第だ。
まさにこの方法を使っていた最大のメディアサイトが、インターナショナルヘラルドトリビューンだった。しかし今は、コンテンツのページを分割して、それぞれに別のURLを付けているようだ。そのため、Googleでの検索結果はご覧のとおり(検索結果が分散している)。いやはや、困ったもんだ……。
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