電気の武者

最近のはてなブックマークでは「ミニマリズム」カテゴリが人気を集めています。まぁ要するに、ちょっと前にはやった断舎利とかロハスとかの言い換えみたいなもんで、余計なものを捨てて自然でシンプルな暮らしをしようとかいう、都会のお金持ちが気まぐれで田舎への憧れを口にするような胸クソの悪さをそこはかとなく感じるんですけど、その「ミニマリズム」カテゴリで、こんなエントリが注目を集めているのを目にしまして。

「電力会社の電気はいりません！」独立型の自家発電で、晴耕雨読の日々をおくる佐藤隆哉さん・千佳さんに聞く、これからの電力自給のありかた | greenz.jp グリーンズ

東電の一方的なやり方をきらい、ソーラーパネルなどを使った自家発電で生活する夫婦（夫婦なのに自家発電かよ、みたいな下ネタは今回は使わないことにする）を紹介する記事。検針のない家に東電の職員がとまどうあたりとか、天候にあわせて「電気富豪の日」「電気貧乏の日」などと生活サイクルを変えるあたりはほのぼのしたユーモアがあります。

とはいえ、

とても不思議なのですが、オフグリッドにしてからオーディオの音が澄んでいてキレイなんですよ！

という一文から漂う、トンデモのかほりは見逃せません。

季刊ステレオサウンド No.195

オーディオの世界はオカルトじみた言説が幅を利かせており、電力会社や発電方式の違いにより音質が変わる、というコピペを目にしたことのある方もいるでしょう。どうもそれに近いものを感じるなあ。

というわけで、この記事で紹介されている佐藤さん（奥さん）のブログを見ますと。

都会で電氣も野菜も自給生活！自然と調和したシンプルライフのすすめ♪

これはすごいなぁ。経皮毒、波動測定、ホメオパシー、ありとあらゆるニセ科学のオンパレードですよ。だいたい自己紹介からして、

緑の医学グリーンフラスコで数年間勤務を経験し、メディカルハーブ、アロマセラピー、フラワーレメディのセミナーを多数開催しています

全ては繋がり合って生かされているというホリスティックな健康観をもつ自然療法士です

＜資格＞
○日本メディカルハーブ協会認定ハーバルセラピスト
○日本メディカルハーブ協会認定ホリスティックハーバルプラクティショナー
○バッチ財団　バッチフラワーレメディ国際教育プログラムレベル1、レベル2、レベル3修了
○バッチ財団登録国際プラクティショナー

そんな資格に何の意味があるのかわからないし、レメディのセミナーなどという時点で「これあかんやつや」と思わない人は少ないでしょう。

自家発電のシステムには２２０万円かかったそうですが、佐藤さんは「私たちはお金の問題ではなく、いのちの問題として、この暮らしを選択したのです」と言っています。お金持ちが好きなライフスタイルを選ぶこと自体は、本人の自由だから別に否定はしませんよエエ。

でも、インチキ医学で稼いだおカネを使ってそういう暮らしをしてる輩に「いのちの問題」なんて言う資格があるんですかね？

「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

んで、はてなのシステムは実に非情なもので、さすがのNATROM先生が発掘してきたこのエントリも、ちゃんと「グリーンズ」の記事と並んで表示されているんです。
そのワクチン、打つのちょっと待った！｜都会で電氣も野菜も自給生活！自然と調和したシンプルライフのすすめ♪

ワクチンは効果がなく、製薬会社が儲けるためだけに作られたものだという陰謀論（いや、そりゃあんたが売り歩いてるレメディとやらのことじゃねえのかよ）を、悪名高い内海聡の著書とともに紹介しているので、もう何をか言わんやです。

そんなに科学が嫌いなのに、電力の計算式とかは信じてるんですかね。もう太陽光とかに頼らないで、人間の波動とやらをエネルギーにして冷蔵庫とかエアコンを動かす練習でもしたらいんじゃね？