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【報告】短期教育プログラム「イメージの作法」

2009.12.21 └イメージの作法, 小澤京子, 荒川徹, 平倉圭, 井戸美里, 河村彩, 宇野瑞木

イメージを読み解くことはどのような行為によって可能になるのか。本研究会は、一つの有効な理論的枠組を導き出すことのみを最終的な目標としているわけではない。イメージを成り立たせるさまざまな要素――作品内部の様式的側面から、制作者あるいは受容者との関わり、政治性、鑑賞され、上演される場など――を考慮にいれつつ、それぞれのイメージへのアプローチを模索しようという試みである。

今年度は、前年度の学生シンポジウムをもとに論文集『表象文化論研究』8号を編纂・出版し、ひとつの成果を得ることができた。また、2月および11月には、カナダでの発表の機会にも恵まれた。それ以外では下記のように、イメージに関する文献について報告・討議を行うことによって、イメージに関する思想・知識を各々蓄積していった。今後も引き続き、同様の活動を続けていく予定であるが、来年度はさらなる成果を出すことが望ましい。

主催:平倉圭(UTCP)、坂口さやか(東京大学大学院博士課程)


論文集『表象文化論研究』8「イメージの作法――権力と表象」2009年3月

  • 坂口さやか「ルドルフ二世の神話イメージにおける政治性について」
  • 星野太「パトスに媒介されるイメージ―偽ロンギノス『崇高論』における「パンタシアー」の概念について」
  • 伊藤綾「表象の危機としての群衆経験―ボードレール「現代生活の画家」をめぐって」
  • 河村彩「幾何学的表象を受け継ぐのは誰か?―アメリカのポストモダン美術批評とソヴィエトの「運動」グループによる構成主義の受容をめぐって」
  • 本田晃子「演劇と建築の零度―構成主義運動における労働者クラブ建築」
  • 宇野瑞木「後漢墓の祠堂における考の表象―扶桑樹と雲・風のモティーフをめぐって」
  • 井戸美里「理想郷としての異境―山口県伝来《四季耕作図屏風》の風景をめぐって」

  • ●これまでの研究会、研究発表:
    ★第1回 2009年2月27日 於オタワ大学(オタワ)
    Workshop “Image as History”

    2009_image_01.jpg

    1. IDO Misato (UTCP),”The Meaning of visualized landscapes: Contextualizing Depiction of Seasonal Changes in Patterns of Life on Medieval Japanese Folding Screens”
    2. SAKAGUCHI Sayaka (JSPS),”The Emperor Transfiguring Himself: A Study of Portraits of Rudolf II.”
    3. KAWAMURA Aya (UTCP),”Images that Make History: Lenin’s “Photographic” Representation in the Era of the Lenin Cult”
    4. Eric Allina-Pisano (University of Ottawa), “Fallacious Mirrors: Colonial Anxiety and Images of African Labor in Mozambique”


    ★第2回 2009年5月26日
    『表象文化論研究』8号 合評会

     
    ★第3回 2009年6月30日
    対象テキスト:マンフレッド・タフーリ『球と迷宮:ピラネージからアヴァンギャルドへ』PARCO出版、1992年。(Manfredo Tafuri, La sfera e il labirinto, Giulio Einaudi editore, Torino, 1980.)
    発表者:本田晃子(東京大学大学院博士課程)


    ★第4回 2009年8月4日
    対象テキスト:Yve-Alain Bois (trans. John Shepley), "A Picturesque Stroll around 'Clara-Clara'," October 29 (Summer 1984), pp. 32–62.
    発表者:荒川徹(東京大学大学院博士課程/UTCP)


    ★第5回 2009年9月29日
    対象テキスト:Robin Evans, The Projective Cast: Architecture and Its Three Geometries, The MIT Press, 2000, chapter 2, “Persistent Breakage”
    発表者:米田尚輝(日本学術振興会特別研究員)


    ★第6回 2009年11月13日(金)於マギル大学(モントリオール)

    2009_image_02.jpg

    Graduate Symposium “Techniques of the Image”
    Co-sponsored by: University of Tokyo Centre for Philosophy
    Art History & Communication Studies, McGill University
    East Asian Studies, McGill University
    Panel 1: Techniques of Form, 2-3.45PM
    Respondent: Prof. Yuriko Furuhata (EAS, McGill)

    1. Tai van Toorn (AHCS, McGill), “Intimate Enclosures: Framing the English Portrait Limning, 1585-1610”
    2. Aya Kawamura (UTCP), “Framed Images: Aleksandr Rodchenko’s Abstract Paintings, Photographs and the Concept of Construction”
    3. Toru Arakawa (UTCP), “Inflection and Inclusion: Perspectivism in Minimal Art”

    Panel 2: Pictorial Constructs, 4-5.45PM
    Respondent: Prof. Takahiro Nakajima (UTCP)
    1. Misato Ido (UTCP), “Commemorating the Past: The Construction of Narrative and Image in the Screen Painting of Fuji no Makigari”
    2. Gyewon Kim (AHCS, McGill), “Tracing the Emperor: Photography, Imperial Progresses and the Creation of Sacred Geographies”
    3. Samantha Burton (AHCS, McGill), "Inside out: locating the contact zone in images of the Canadian domestic interior"


    ★第7回 2009年11月27日
    対象テキスト:Linda Nochlin, The Body in Pieces: The Fragment as a Metaphor of Modernity, London : Thames & Hudson, 2001 (1st ed., 1994.)
    発表者:小澤京子(東京大学大学院博士課程/UTCP)

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