「欲しがりません勝つまでは」が日本を滅ぼす
「少子化の原因は非正社員の増加のみにあらず。 未婚者を増加させる社会構造の変化にある」 ――東京大学・佐藤博樹教授インタビュー|識者が語る 日本のアジェンダ|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/9028
子供を産むことは社会にとって迷惑であるというメッセージ - 星の旅
http://d.hatena.ne.jp/SeiSaguru/20100807/1281145699
SYNODOS Blog : 福祉国家に対する冷静な視線――福祉レジーム論とジェンダー(1) 筒井淳也
http://synodos.livedoor.biz/archives/1484918.html
SYNODOS Blog : 福祉国家に対する冷静な視線――福祉レジーム論とジェンダー(2) 筒井淳也
http://synodos.livedoor.biz/archives/1484924.html
お見合い結婚や職場結婚が減少したその結果、この問題をとく鍵をコミュニケーション能力次第だとすることは、自由恋愛と恋愛結婚という様式を強化することになるのも一理ある。
しかし、そもそもその自由は、男女役割別分業と専業主婦制度のふたつによって成り立っていたのであり、その意味で専業主婦を目指す「婚活」は局地的には最適化した正しい答えなのかもしれない。ただそれは、もう一方の核である男女役割別分業という制度が徐々にではあるが崩壊し、労働力としての女性が前にでるようになったことで、既に機能不全に陥っていることは明らかだ。
男が労働に専業し女が主婦専業するというモデルが、男女役割別の差別的雇用環境を暗黙の内に前提としていた自由恋愛制度だったのであり、女性労働がより一般化し、さらに男性の差別的雇用環境をも一般化した現在においては、自由恋愛によっての結婚、そして少子化の解決など、およそ不可能だということだ。
だからこそマジックワードが持ち出されざるを得ない、「コミュニケーション能力」というマジックワードが。
あるいは「本人次第」というマジックワードが。
ではさてこの結婚・未婚・少子化の問題について、「埋めよ増やせよ」「欲しがりません勝つまでは」のうちいったいどちらのかけ声に多くの賛同が集まるのだろうか。
当然、「欲しがりません勝つまでは」がやむを得ず選ばれるだろう。
要するに今の若者層が「負け」を肌で感じ取り、あるいは絶望に浸っているからこそ「ほしがりません」とあきらめている、その積み重ねが晩婚化・未婚化・非婚化・少子化なわけで、二人目を産ませるために金をばらまくだの、保育所を増設するだのいった政策はまったく根本的なところから的外れな滑稽なものでしかない。
だからこそマジックワードが持ち出される。
「コミュニケーション能力」というマジックワードが。「本人次第」というマジックワードが。
社会構造に問題があるのではなく、個人の精神が未熟だから。ねじ曲がっているから。「心の闇」が問題だから、等々。
そして事態は永遠に先送りされる。万人の「合意」によって。
若者に回されるべき金は、すべて役員報酬と高齢者福祉に消え去っていく。
そしていざ日本人の頭数が少なくなった暁には、すんなりといともすんなりと移民が「輸入」されてくるだろう。
子供も持てず、結婚もできない日本人は、一部既得権益層を除いてあっという間に移民に駆逐されていくだろう。
美しい日本の標語、「欲しがりません勝つまでは」の精神によって。
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