ごく大雑把に書体開発を三つの段階に分けると、スケッチ・試作・フォント化の順になる。ある段階から次の段階にいたるとき、必要な技能・使用する道具が異なるため、少なからず感覚のずれが生じる。それは経験だけで補える種類の問題ではないようで、いつもそのギャップにとまどう。日本語書体の開発フローにはまだまだ改善の余地がある。
健康に配慮し、こってり系ラーメンでいっぱいだった頭を切り替えて「鳥よし」へ。結果、梅おろしとんかつを食べたわけだが。半角かな制作の下準備。エンジニアから届いたツールの新しいインターフェイスの使い勝手を試す。
試作書体のために書いた文章で組版サンプルをつくり、試作書体の組み面を確認する。いやというほど文章を変えたり組み方を変えるなどして書体チェックをおこなうわけだが、濃度差などの細かいチェック以外にも、飽きがこないかどうかを観察している。半年見続けたくらいで見飽きるようであれば話にならない。
午前中はフォントのライセンスに関する打ち合わせ。午後からJAGAT(日本印刷技術協会)で「TP明朝とフィットフォントサービス」講演会。フォーマルすぎずカジュアルすぎず、単調にならないようビジネスの部分と思い入れの部分にめりはりをつけて進める。
朝のうちにデザインの赤入れを済ませ、修正が必要な漢字の数をカウントする。デザイン修正を新人に託して、テキストの仕上げにかかる。昼は仕事場で冷やしうどん。次のプロジェクトを進めるにあたって目を通しておきたい本がいっぱい。
明るいうちに明るい場所で漢字のデザインチェック。大相撲千秋楽を見終えて、エビスビールと枝豆。
今夏初のスイカをほおばる。甘さばっちり、毎日食べたいくらい。サイト用のテキストを書き足したり書き直したり。夕方外に出てみると、炭坑節や東京音頭が聞こえてくる。サノヨイヨイとかチョイトみたいな合いの手が小気味よい。浴衣を着たおさなごたちの姿もあちこちに。水瓜お囃子盆踊り。日本の夏であることよ。
書体制作の一日がデフォルトなため、文章を書いているとふだんと違う疲労が溜まる。そんな週末土用丑、妻が嫌いなため食卓にのぼることがなかったうなぎの蒲焼きが夕食だったことにおどろく。昼を蕎麦でかるく済ませただけだったのでなおさら美味い。
メンバーのフィードバックを受け、3000字ほど書いたテキストの三割をカットして、残った2000字の七割を書き直し中。これは文章のトレーニングであると同時に精神的な修練を兼ねているともいえるだろう。悪くない。昼食がわずかだったせいでお腹がへるが、水を飲んでやりすごす。これはむしろ健康維持の一環として。
見積もりをなんども出して打ち合わせに出向いたあげく、高いので無料のフォントでいきますというケースがさいきん増えてきている。好むと好まざるとそういう流れがかたちになりつつあるのだから、タイププロジェクトらしい次の打ち手を試すべき時期なのだと捉えている。